土地探しは、買ってしまうと土地を変えられないので、気になる土地が見つかった段階で、設計者に見てもらうと安心です。特に、斜面や造成の多いエリア、擁壁のある土地、前の道が狭い土地では、買ったあとに造成や工事の費用が大きくなることがあります。
一方で、設計事務所への相談が向くのは、自分であまり決められない人、判断の材料がほしい人です。自分の直感を信じて決めたい人には、向かないことがあります。この記事では、買う前に自分で確かめたい点と、設計事務所に相談すると何が分かるかを説明します。

土地を買う前に確かめたい3つのポイント
YYAでは、土地を見るときにまず次の3点を確認します。
1. 擁壁が敷地の中にあるか
高低差のある土地では、土を支える擁壁(ようへき)が、敷地の内側にあるか、隣地や道路の側にあるかで、扱いが変わります。擁壁が敷地内にある場合は、その状態によっては、つくり直しや補修の費用がかかることがあります。傾斜地の詳しい注意点は、傾斜地・ひな壇の土地に家を建てるときの注意点で説明しています。
2. インフラ(上下水道・ガス・電気)が通っているか
前の道に水道管や下水管、ガス管が通っているか、敷地まで引き込まれているかを確かめます。通っていない場合は、引き込み工事の費用が建築費とは別にかかります。不動産会社の重要事項説明でも、飲用水・電気・ガスの供給と排水の施設の整備の状況は説明される項目です(宅地建物取引業法 第35条)。
3. 周りを見て、造成の多いエリアか
敷地だけでなく、周りの地形も見ます。近くに造成された土地や、段になった宅地、擁壁が多いエリアでは、斜面地などを買う場合に、造成のための費用が大きくなりやすいからです。気をつけて見ておかないと、土地の価格は安くても、造成費用を含めた総額が高くなることがあります。
買う前に、建てられる大きさを確かめる
土地には、建てられる家の大きさや高さに決まりがあります。主なものは次のとおりです。
| 確かめること | 内容 | 根拠・関連記事 |
|---|---|---|
| 建ぺい率・容積率 | 敷地に対して、建築面積・延べ面積が上限を超えてはいけません。上限は用途地域などで決まります | 建築基準法 第52条・第53条、延べ床面積の記事 |
| 接道(道路に接する幅) | 建物の敷地は、原則として道路に2m以上接する必要があります | 同法 第43条、旗竿地の記事 |
| 高さの制限 | 道路斜線・隣地斜線などで、建物の各部分の高さが制限されます | 同法 第56条、北側斜線の記事、日影規制の記事 |
| 防火の制限 | 防火地域・準防火地域では、建物の性能が求められます | 防火地域・準防火地域の記事 |
| 地区計画などの条例 | 地区計画の区域では、市町村が条例で敷地・構造・用途の制限を定められます | 同法 第68条の2 |
不動産会社の重要事項説明で、分かること・分からないこと
不動産会社は、契約が成立するまでの間に、重要事項の説明を書面で行います。そこでは、都市計画法・建築基準法などの法令に基づく制限の概要、私道の負担、上下水道・電気・ガスの整備の状況などが説明されます(宅地建物取引業法 第35条)。
ただし、説明されるのは制限の「概要」です。その土地に、希望の広さや間取りの家が、実際に建つかどうかは、制限を図面に当てはめて確かめる必要があります。土地を買う前に設計者が敷地を確認する意味は、ここにあります。
設計事務所に相談が向く人・向かない人
| 向く人 | 向かない人 | |
|---|---|---|
| 判断のしかた | 自分であまり決められない。判断の材料や、第三者の意見がほしい | 自分の直感を信じて決めたい |
YYAでは、土地の候補がいくつかあって迷っている方、条件の違う土地の比較に不安のある方には、買う前の相談をおすすめしています。逆に、ご自身の直感で決めたいという方は、設計者の意見を聞くことが、かえって迷いのもとになることがあります。
「建築条件付き」の土地は、設計事務所に頼めないのか
土地によっては、売る側の不動産会社が、建てる工務店などを指定していることがあります(建築条件付きの土地)。この場合、指定された会社以外では建てられないのが原則です。
ただし、YYAの見解では、この指定は外せる場合があります。一般には、表示されている土地の価格に、金額を上乗せすれば、条件を外してもらえることがあります。不動産会社は、指定した施工会社と組んでその土地を売っていることが多く、施工で得られるはずだった利益の分を土地の価格に上乗せすれば、条件を外すことに応じてもらえるのが一般的だからです。
ただし、外せるかどうか、いくら上乗せになるかは、不動産会社との交渉次第で、外せないこともあります。気になる土地が建築条件付きの場合は、契約の前に、不動産会社へ条件を外せるか、外す場合の金額はいくらかを相談してください。設計事務所に頼みたい場合は、この確認を先にしておく必要があります。
YYAの土地探しの進め方
YYAでは、不動産会社の建築家不動産と協同して、土地探しを進めます。
- ご要望を伺う:「駅から徒歩10分以内」などの条件、予算、エリアをお聞きします。ご相談は無料です
- 土地をご紹介する:建築家不動産が、条件に合う土地をご紹介します
- 現地を一緒に見る:建築家不動産の担当者、設計者(吉野)、施主さまの3者で、土地を見に行きます
- 敷地チェックをする:建てられる家と注意点を、図にしてお渡しします
- 購入を判断する:土地と建物の総額で決めます
- 設計・監理:購入後、一級建築士が竣工まで担当します
ご自身で見つけた土地も、ご相談いただけます。その場合も、建築家不動産の担当者に目を通してもらい、設計者の吉野もチェックします。
費用の目安
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 初回相談(ご要望・エリア・予算の整理) | 無料 |
| 敷地チェック(候補地1件ごとの調査と図解) | 税抜10万円(設計料に充当)。建物のボリュームイメージと簡易プランをお渡しします。大阪以外は交通費が別にかかります |
| 設計・監理 | 規模・用途によります。工事費(税込)の10〜15% |
不動産の仲介手数料は、建築家不動産との契約になります。(出典: YYAの土地探しのご案内)
例:クリニック併設住宅の土地選び(和歌山県田辺市)
YYAは、和歌山県田辺市の歯科医院併用住宅(森の歯科)で、土地選びから関わりました。奥様の実家に近い田辺市で、敷地の候補が3つあり、どこを選べばよいか判断がつかない状態でした。
向かいに大きな総合病院があり、敷地の東には総合公園がある立地で、車の往来が多いと判断しました。クリニックの開業には車通りも必要です。一方で、大きな公園の近くなので、子育ての環境にも向いています。駐車台数や建物のボリュームを検討し、ここであれば実現できると判断して、購入に至りました。
設計では、敷地の前面の車通りが多いため、個室のあるクリニックを道路の反対側に配置し、静かな診療空間をつくりました。2階の住宅は、道路からセットバックして建て、距離をとることで静かに暮らせる空間としました。
ご相談の前に
土地の相談では、まず、気になる土地の住所、または不動産会社の資料を教えてください。あわせて、希望の広さや暮らし方、予算、エリアが分かると、話が早く進みます。まだ土地も予算も決まっていない段階でも、何から始めればよいかを整理するところからお手伝いします。対応エリアは関西を中心に、全国のご依頼にも対応しています。
まとめ
土地は、買ってからでは変えられません。擁壁が敷地内にあるか、インフラが通っているか、造成の多いエリアかの3点は、買う前に自分でも確かめておきたいポイントです。不動産会社の重要事項説明は制限の「概要」にとどまるので、希望の家が建つかは、図面に当てはめて確かめる必要があります。判断に迷う方は、買う前に設計事務所へ相談すると、安心して決められます。
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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