延べ床面積(建築基準法では延べ面積)とは、建築物の各階の床面積の合計です(建築基準法施行令 第2条第1項第4号)。2階建てで、1階が60㎡、2階が50㎡なら、延べ面積は110㎡です。
建てられる大きさは、延べ面積と建築面積を、土地の広さ(敷地面積)で割った容積率と建ぺい率で決まります。ただし、車庫や地階、ロフトなど、延べ面積に入れない部分があります。この記事では、その数え方を、条文にそって説明します。

4つの面積の違い
家の大きさを表す面積は、4つあります。数え方は、建築基準法施行令の第2条で決まっています。
| 面積 | 数え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 敷地面積 | 敷地の水平投影面積(真上から見た面積) | 施行令 第2条第1項第1号 |
| 建築面積 | 外壁(または柱)の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。軒・ひさしなどが、中心線から1m以上突き出ているときは、その端から1m後退した線で囲む | 施行令 第2条第1項第2号 |
| 床面積 | 各階の、壁などの区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積 | 施行令 第2条第1項第3号 |
| 延べ面積 | 各階の床面積の合計 | 施行令 第2条第1項第4号 |
建築面積は、建物を真上から見たときの大きさです。2階建てでも、1階と2階の大きさが同じなら、建築面積は、1階の大きさと同じです。
建ぺい率:敷地のうち、建物を建てられる割合
建ぺい率は、建築面積の敷地面積に対する割合です(建築基準法 第53条)。上限は、用途地域ごとに、都市計画で決まります。
| 用途地域 | 建ぺい率の上限(都市計画で定められる数値) |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域 | 10分の3、4、5、6のいずれか |
| 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域 | 10分の5、6、8のいずれか |
| 近隣商業地域 | 10分の6、8のいずれか |
| 商業地域 | 10分の8 |
上限が10%広がる場合
次のいずれかにあてはまると、建ぺい率の上限に10%(10分の1)が加わります。両方にあてはまると、20%(10分の2)が加わります(建築基準法 第53条第3項)。
- 角地(街区の角にある敷地、またはこれに準ずる敷地で、特定行政庁が指定するもの)
- 防火地域内で耐火建築物等、または準防火地域内で耐火建築物等・準耐火建築物等(防火地域・準防火地域については、防火地域・準防火地域の記事で説明しています)
「角地」の指定の範囲は、特定行政庁(市役所などの建築指導の窓口)ごとに違うため、土地を決める前に確かめます。
容積率:敷地に対する、延べ面積の割合
容積率は、延べ面積の敷地面積に対する割合です(建築基準法 第52条)。
| 用途地域 | 容積率の上限(都市計画で定められる数値) |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 10分の5、6、8、10、15、20のいずれか |
| 中高層住居専用地域、住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域 | 10分の10、15、20、30、40、50のいずれか |
| 商業地域 | 10分の20から130までの、都市計画で定められた数値 |
| 工業地域・工業専用地域 | 10分の10、15、20、30、40のいずれか |
前面道路が狭いときの制限
前面道路の幅が12m未満のときは、道路の幅(m)に、次の数値をかけた値が、容積率の上限になります(建築基準法 第52条第2項)。都市計画で定められた数値と比べて、小さいほうが上限です。
| 用途地域 | 道路の幅にかける数値 |
|---|---|
| 低層住居専用地域、田園住居地域 | 10分の4 |
| 中高層住居専用地域、住居地域、準住居地域 | 10分の4(特定行政庁の指定する区域は10分の6) |
| その他 | 10分の6(特定行政庁の指定する区域は10分の4または10分の8) |
たとえば、前面道路の幅が4mの住居地域なら、4×10分の4=10分の16、つまり160%が、道路による上限になります。都市計画で200%と定められていても、小さいほうの160%になります。
延べ面積に入れない部分
建築基準法では、延べ面積を数えるとき、容積率の計算に限って、次の部分を延べ面積に入れません。
| 部分 | 入れない範囲の上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 自動車車庫・駐輪場などの部分 | 敷地内の全建築物の各階の床面積の合計の5分の1まで | 施行令 第2条第1項第4号イ、第3項第1号 |
| 防災のための備蓄倉庫 | 同じく50分の1まで | 施行令 第2条第3項第2号 |
| 蓄電池を設ける部分 | 同じく50分の1まで | 同第3号 |
| 自家発電設備を設ける部分 | 同じく100分の1まで | 同第4号 |
| 貯水槽を設ける部分 | 同じく100分の1まで | 同第5号 |
| 宅配ボックスを設ける部分 | 同じく100分の1まで | 同第6号 |
| 地階(天井が地盤面から1m以下)の、住宅の部分 | 住宅部分の床面積の合計の3分の1まで | 建築基準法 第52条第3項 |
| エレベーターの昇降路 | 全部 | 建築基準法 第52条第6項 |
たとえば、各階の床面積の合計が120㎡の家なら、車庫は、120×5分の1=24㎡まで、延べ面積に入れません。それを超える部分は、入ります。
なお、ここでいう「地盤面」は、建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さです。高低差が3mを超えるときは、高低差3m以内ごとに平均をとります(建築基準法 第52条第4項)。傾斜地では、この地盤面の考え方が、地階の扱いを左右します(傾斜地の家は、傾斜地・ひな壇の記事で説明しています)。
吹き抜け・ロフト・ピロティ・軒の扱い
| 部分 | 扱い |
|---|---|
| 吹き抜け | 床がないので、その階の床面積には入りません。ただし、階数は、一部が吹き抜けでも、最大の階数で数えます(施行令 第2条第1項第8号) |
| ロフト(小屋裏物置) | 所定の条件を満たせば、階とみなさず、床面積にも入れません(下の箕面市の取扱いを参照) |
| ピロティ | 壁のない部分は、床面積に入らない場合があります(ピロティの記事で説明しています) |
| 軒・ひさし | 中心線から1m以上突き出ているとき、先端から1m後退した線までが、建築面積に入ります |
ロフトの取扱い(箕面市の例)
ロフトの取扱いは、自治体ごとに少しずつ違います。箕面市の基準は、次のとおりです(箕面市 ロフトの取扱い)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 床面積 | ロフトが属する階の床面積の2分の1未満 |
| 天井の高さ | 最高の内法高さ1.4m以下 |
| はしご | 固定式にしない |
| 設備 | テレビやインターネットの端子、2口以上のコンセントなどは設けない |
ロフトを計画するときは、建てる場所の市役所の窓口で、最新の基準を確かめてください。
計算してみる:実例の数字で
YYAが設計した箕面の家は、敷地面積が138.20㎡、延床面積が115.92㎡です。延べ面積を敷地面積で割ると、115.92÷138.20=約0.84、つまり約84%です。

実際の容積率は、用途地域で決まる上限と、車庫や地階などの算入しない部分を、あわせて確かめます。箕面の家は、1階の階高を高くして、収納のためのロフトを設けています。ロフトも、上の基準を満たすかで、床面積の扱いが変わります。
ご相談の前に
延べ面積と建ぺい率・容積率は、土地を決めるときの、最初の確認事項です。ご相談の際は、次の内容を教えてください。
- 土地の場所と、広さ(分かれば、用途地域と建ぺい率・容積率)
- 前面道路の幅
- 欲しい部屋の数と、おおよその広さ
- 車庫、ロフト、地下室、吹き抜けの希望
- 角地かどうか
まとめ
延べ面積は、各階の床面積の合計です。建ぺい率は建築面積、容積率は延べ面積を、敷地面積で割った割合です。角地や防火地域内の耐火建築物などは、建ぺい率の上限に10%が加わります。前面道路が12m未満のときは、道路の幅にかける数値で、容積率が決まります。車庫は、床面積の合計の5分の1まで、延べ面積に入れません。ロフトは、自治体の基準を満たせば、床面積に入りません。土地を決める前に、用途地域と、これらの数え方を確かめましょう。
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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