細い路地の奥に建つ古い木造住宅。道路に接する部分が狭い

再建築不可・既存不適格とは?違いと見分け方、建て替え・リフォームでできること|建築家が解説

再建築不可とは、今の家を取り壊すと、その土地に新しく家を建てられない状態のことです。多くは、敷地が建築基準法の道路に2m以上接していない(接道義務を満たしていない)ことが原因です。

既存不適格は、これとは別の考え方です。建てたときは法令に合っていたものの、その後の法改正や都市計画の変更で、今の基準に合わなくなった建物のことをいいます。既存不適格の建物は、それだけで違反建築物になるわけではありません。ただし、建て替えや増築、大規模なリフォームをするときには、今の基準に合わせることを求められる場合があります。

どちらも、家を買う前や、建て替え・リフォームを考え始めたときに確かめておくことが大切です。

細い路地の奥に建つ古い木造住宅。道路に接する部分が狭い

再建築不可と既存不適格の違い

再建築不可既存不適格
何が問題か敷地が道路に2m以上接していないなど、新しく建てる条件を満たさない建てた後の法改正などで、建物や敷地が今の基準に合わない
今の建物はそのまま住み続けられるそのまま住み続けられる(違反建築物ではない)
建て替え原則としてできない今の基準に合わせて建てる(同じ大きさで建てられないことがある)
増築・大規模なリフォーム確認申請が必要な工事は難しい原則として今の基準がかかる(緩和される規定もある)

既存不適格の扱いは、建築基準法 第3条第2項・第3項で定められています。増築や大規模の修繕などをする場合の緩和は同法 第86条の7にあります。

接道義務:道路に2m以上接すること

建築物の敷地は、建築基準法の道路に2m以上接しなければなりません(建築基準法 第43条第1項)。ここでいう「道路」は、原則として幅4m以上のもので、道路法による道路などが当てはまります(同法 第42条第1項)。

再建築不可になりやすいのは、次のような土地です。

  • 道路に接する部分の幅が2m未満(旗竿地の竿の部分が狭いなど)
  • 敷地が接している道が、建築基準法の道路ではない(私道や通路で、道路の指定がないもの)
  • 道路に接していない(ほかの土地に囲まれている)

旗竿地については、旗竿地の記事でも説明しています。

2項道路とセットバック

幅4m未満の道でも、建物が立ち並んでいて特定行政庁が指定したものは、道路とみなされます(いわゆる2項道路)。この場合、道の中心線から2mの線が道路の境界線とみなされるため、建て替えのときは敷地の一部を道路として後退させる(セットバックする)必要があります(建築基準法 第42条第2項)。セットバックした部分には、建物や塀を建てられません。

再建築できる場合もある

接道義務を満たしていなくても、次の場合は建てられることがあります(建築基準法 第43条第2項)。

方法内容
認定(第1号)幅4m以上の道(道路ではないもの)に2m以上接し、利用者が少ない建物で、特定行政庁が支障がないと認めたもの
許可(第2号)敷地の周りに広い空地があるなど、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したもの

ほかにも、隣の土地の一部を買う・借りるなどして、道路に接する幅を2m以上にする方法があります。どの方法が使えるかは、自治体ごとの基準と、敷地の状況によって変わります。

リフォームはどこまでできるか

再建築不可の家でも、確認申請が必要ない範囲のリフォームであれば、工事をすることができます。内装や設備の入れ替えなどが当てはまります。

注意したいのは、2025年4月の建築基準法の改正です。現在は、2階建て以上、または延べ面積が200㎡を超える建物で、大規模の修繕・大規模の模様替をする場合は、確認申請が必要です(建築基準法 第6条第1項第2号)。大規模の修繕・模様替とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段などの主要構造部の一種以上について、その過半を修繕・模様替することをいいます(同法 第2条第14号・第15号)。

以前は、木造2階建ての住宅では大規模なリフォームでも確認申請が要らないことが多くありましたが、今は必要になります。再建築不可や既存不適格の2階建ての家で、屋根や床をまるごとやり直すような大きなリフォームを考えている場合は、計画の早い段階で、確認申請が必要になるか、その工事が認められるかを確認してください。

古い家のリフォームの考え方は築50年・築40年の家の記事、建て替えとの比較はリノベと建て替えの記事でも説明しています。

検査済証がない建物

建てたときに完了検査を受けておらず、検査済証がない建物もあります。検査済証がないと、建てたときに法令に合っていたことを書類で示しにくく、増築や用途変更などの手続きで調査が必要になることがあります。

YYAでも、検査済証がない建物についてのご相談を受けたことがあります。ご相談の際は、確認済証、検査済証、図面、登記事項、あれば構造計算書をお持ちいただくと、状況を整理しやすくなります。用途変更の手続きについては用途変更の記事で説明しています。

買う前に確かめること

確かめることどこで・何で確かめるか
前の道が建築基準法の道路か、道路の種類市区町村の建築指導の窓口、道路の台帳
道路に接する部分の幅(2m以上あるか)測量図・公図、現地での計測
2項道路ならセットバックの範囲建築指導の窓口、測量図
確認済証・検査済証の有無売主の書類、台帳記載事項証明書(窓口で取得できる場合がある)
用途地域・建ぺい率・容積率など都市計画図。今の建物が今の基準に合っているか
重要事項説明書の記載再建築不可・既存不適格の記載、道路の扱い

再建築不可の物件は、将来の建て替えや売却、リフォームの選択肢が限られます。買う前に、どこまで工事ができるかを確かめておきましょう。中古住宅を買ってリノベーションする流れは中古住宅のリノベーションの記事で説明しています。

ご相談の前に

再建築不可や既存不適格の判断は、敷地と道路の状況、建てた時期、書類の有無によって変わります。ご相談の際は、物件の場所、測量図や公図、確認済証・検査済証・図面・登記事項(構造計算書があればそれも)、重要事項説明書の写し、考えている工事(建て替え・増築・リフォーム)を教えてください。

まとめ

再建築不可は、主に道路に2m以上接していないために、建て替えができない状態のことです。既存不適格は、建てた後の法改正などで今の基準に合わなくなった建物で、違反建築物とは違います。2025年4月からは、2階建て以上または200㎡を超える建物の大規模な修繕・模様替に確認申請が必要になったため、再建築不可や既存不適格の家で大きなリフォームを考える場合は、早めに確認しましょう。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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