西神中央の家

築50年・築40年の家はリノベーションで何年住める?耐震・劣化・断熱の確かめ方|建築家が解説

築50年・築40年の家をリノベーションしたら、あと何年住めるのか。結論から言うと、築年数だけでは決まりません。よく聞く「木造は22年」は税金の計算に使う年数で、建物が使えなくなる年数ではありません。

あと何年住めるかを左右するのは、次の3つです。

  1. 耐震性:建てられた時期で、まず確かめることが変わる(1981年と2000年が境目)
  2. 構造の傷みと漏水:基礎、土台、柱、シロアリ、雨漏りや配管からの漏水
  3. 設備と断熱:配管や電気、窓や断熱をどこまで新しくするか

これらを調べたうえで、これから何年住みたいかに合わせて、直す範囲を決めるのがリノベーションの考え方です。基礎や地盤の問題が大きい場合は、建て替えと比べることも必要です。

築50年と築40年で違うこと

2026年の時点で、築50年の家は1976年ごろ、築40年の家は1986年ごろに建てられています。この10年の間に、耐震と省エネの基準が変わっています。

築50年(1976年ごろ)築40年(1986年ごろ)
耐震の基準旧耐震基準(1981年5月以前)新耐震基準。ただし木造では2000年に接合部などの仕様が明確化される前
まず確かめること耐震診断で、現在の基準との差を確かめる柱と梁などの接合部、壁の配置のバランス
断熱住宅の省エネ基準(1980年制定)より前。断熱材が入っていない、または少ないことがある1980年の基準の後だが、当時は義務ではなく、断熱の性能は今の基準より低い
税の優遇1981年5月31日以前の家は、耐震改修で所得税の控除の対象になりうる対象外(ほかの制度を確認)

出典:耐震は国土交通省(2017年)、省エネ基準の制定・強化は国土交通省の資料、税は国税庁 No.1222

「何年住める」の考え方

法定耐用年数の22年は、税金の計算の年数

木造の住宅用の建物の法定耐用年数は22年です(国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表)。これは、建物の取得費を何年かけて経費にするか(減価償却)を決めるための年数で(国税庁 No.2100)、22年を過ぎた家に住めなくなるという意味ではありません。

実際の寿命は、状態と直し方で変わる

同じ築50年でも、雨漏りを放置してきた家と、手入れを続けてきた家では、構造の状態がまったく違います。そのため、「築50年ならあと何年」と一律に言うことはできません。

考え方の順番は、次のとおりです。

  1. これから何年住みたいかを決める(例:自分たちが住む20年、次の世代まで)
  2. その年数に必要な耐震・構造・設備・断熱の水準を決める
  3. 調査の結果から、その水準にするための工事の範囲と費用を出す
  4. 費用が見合わない場合は、範囲を絞るか、建て替えと比べる

リノベーションの前に確かめること

1. 耐震性

1981年5月以前に建てられた家(旧耐震)は、耐震診断を受けて、どこをどれだけ補強するかを決めます。自治体によっては、耐震診断・耐震改修の補助があります。たとえば大阪市では、2000年5月31日以前に建てられた住宅が耐震改修の補助の対象になる場合があります(工事費の1/2、1戸115万円まで、条件あり)(大阪市)。大阪の自治体の補助は大阪のリノベーションの記事にまとめています。

1981年5月31日以前の家を、自分で住むために耐震改修して現在の耐震基準に適合させた場合は、所得税の控除を受けられることがあります(2028年12月31日までの改修、条件あり)(国税庁 No.1222)。

1981年6月〜2000年に建てられた木造の家(新耐震)も安心とは言い切れません。熊本地震では、2000年以前に建てられた新耐震基準の木造住宅にも倒壊などの被害があり、国土交通省は、リフォームなどの機会に接合部などの状況を確かめることを勧めています。そのための方法として「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」が公開されています(国土交通省)。

2. 構造の傷み

場所確かめること
基礎ひび割れ、鉄筋が入っているか
土台・柱の足もと腐れ、シロアリの被害
床傾き、たわみ

目に見えない部分は、インスペクション(建物状況調査)や、床下・天井裏の調査で確かめます。壁や床を開けてから傷みが見つかることもあるので、工事費には予備を見込んでおきます。

3. 漏水

雨漏りや、給水・排水の配管からの漏水は、柱や梁、土台を腐らせ、シロアリの原因にもなります。構造の傷みとあわせて、水がどこから入っていないかを確かめます。

確かめること内容
雨漏り天井や壁のしみ。屋根、外壁、窓まわり、バルコニーから入ることが多い
給水管の漏水家の中と外の蛇口をすべて閉めた状態で、水道メーターのパイロット(星形などの部品)が回っていないか(さいたま市)
排水・水回りの床下浴室、キッチン、洗面所、トイレの床下の湿り、床のたわみ

漏水の跡が見つかったら、まず原因を止めてから、傷んだ部分をどこまで直すかを決めます。

4. 設備

給水・排水の配管、電気の配線や容量、給湯器は、築40〜50年の間に一度も交換していない場合、リノベーションにあわせて新しくすることが多くなります。床や壁を開ける工事のときにまとめて交換すると、あとから個別に直すより手間が少なくなります。

5. 断熱

断熱は、壁・床・天井を開けるリノベーションのときが、まとめて改善する機会です。窓の交換や内窓の追加も効果が大きい工事です。どこまで断熱するかは、住む年数と予算、暮らし方(どの部屋をよく使うか)で決めます。

2025年4月からの確認申請

2025年4月以降に着工する工事から、木造2階建てなどの住宅で、壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれかを半分を超えて改修する「大規模なリフォーム」には、建築確認の手続きが必要になりました(国土交通省)。築年数の古い家で間取りを大きく変えたり、階段を架け替えたりする場合は、計画の初めに確認しておきます。詳しくはリノベーションと建て替えを比べる記事で説明しています。

費用と、建て替えとの比べ方

費用は、どこまで直すか(耐震・断熱・設備・間取り)で大きく変わります。予算ごとにできる範囲は戸建てフルリノベーションの費用の記事をご覧ください。

基礎や地盤の傷みが大きい場合や、今の基準で建て替えても同じ大きさで建てられる場合は、建て替えのほうが合理的なこともあります。判断の手順はリノベーションと建て替えの記事にまとめています。

YYAの事例:西神中央の家(築30年)

西神中央の家。新しく加えた柱と梁で小部屋を一つにまとめた

YYAが改修した西神中央の家は、1993年に建てられたツーバイフォーの住宅で、築30年でのリノベーションです(2023年竣工)。構造を計算したうえで新しい柱と梁を加え、小部屋の多い間取りを大きなLDKにしました。築年数は今回のテーマより新しいですが、構造を調べて補強の方法を決めてから間取りを変えるという進め方は同じです。詳しくはツーバイフォーのリノベの記事をご覧ください。

ご相談の前に用意するとよいもの

  • 住所
  • 建てた年、図面、確認済証・検査済証、構造計算書(あれば)
  • 今の家で困っていること、残したいもの
  • これから住む予定の年数と、おおよその予算

ご相談は無料です。大阪府吹田市の一級建築士事務所です。大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山など関西を中心に、全国のご依頼に対応しています。

まとめ

築50年・築40年の家があと何年住めるかは、築年数では決まりません。法定耐用年数の22年は税金の計算の年数です。1981年5月以前の家はまず耐震診断、1981年6月〜2000年の木造の家は接合部などの確認から始め、構造の傷み、漏水、設備、断熱を調べたうえで、これから住む年数に合わせて直す範囲を決めましょう。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。片岡重男建築研究所、株式会社日建設計を経て、2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

関連記事

下記のバナーからYYAの公式LINEを友だち追加していただくと、築年数の古い家のリノベーションのご相談をLINEでお気軽にお寄せいただけます。

YYA公式LINEで友だち追加

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA