上空からの眺め

角地のメリット・デメリット|建ぺい率の緩和(特定行政庁の指定)と、買う前に確かめる建物のボリュームと高さ|建築家が解説

角地のメリットの一つは、建ぺい率が緩和され、大きく建てられることです。街区の角にある敷地、またはこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものは、建ぺい率の限度が10%(10分の1)加わります。ただし、実際に建てられる大きさは、容積率や高さの制限なども含めて確認が必要です。

一方で、角地は2面が道路に面するので、メインアプローチにしない側をどう扱うかを考える必要があります。また、道路斜線を二方向から受けるため、建物の高さの確認も欠かせません。この記事では、角地を買う前に確かめる点を、法令と自治体の資料、設計の考え方で説明します。

角地とは

建築基準法でいう角地は、街区の角にある敷地、またはこれに準ずる敷地で、特定行政庁が指定するものです(建築基準法 第53条第3項第二号)。

角にある土地でも、自治体が指定していなければ、建ぺい率の緩和は受けられません。「角地だから緩和される」と思い込まず、買う前に確かめることが大切です。

指定の条件は自治体で決まっています

どの敷地を角地として扱うかは、特定行政庁(市町村や都道府県)が定めています。例えば、大阪市では、建築基準法施行細則で次のように定めています(大阪市:角地等による建蔽率の緩和について。令和7年2月版)。

区分条件(大阪市の例)
(1) 2つの道路の角にある敷地内角が150度以下の2つの道路の角にある敷地で、次の(ア)か(イ)のどちらかに当てはまり、かつ(ウ)も満たすもの。
(ア) 一方の道路の幅員が10m以上ある。
(イ) どちらの道路も幅員が4m以上あり、角を挟む2辺に、それぞれ2m以上の街角の切取りか、建築物の隅切りがある。
(ウ) 道路に接する長さの和が、敷地の外周の長さの3分の1以上ある。
(2) 2つの道路に挟まれた敷地2つの道路の間隔が35m以下で、道路の幅員がそれぞれ4m以上あり、かつ、道路に接する長さの和が敷地の外周の長さの4分の1以上あること

※ 道路とは建築基準法第42条に定める道路で、セットバックが必要な道路は、セットバック後の境界線を道路境界線とみなします。道路に接する長さは、それぞれ2m以上が必要です。

上は大阪市の例です。ほかの自治体は条件が違うことがあるので、土地のある市町村の資料や窓口で確認してください。

メリット:建ぺい率が緩和され、大きく建てられる

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合で、地域ごとに上限が定められています(建築基準法 第53条)。角地の緩和を受けられる場合は、地域で定められた建ぺい率の限度に、10分の1(10%)が加わります。

例えば、建ぺい率の限度が60%の地域で、敷地面積(セットバックする部分を除く)が100㎡の場合:
– 通常:建築面積の上限は60㎡
– 角地の緩和を受けられる場合:70%になり、建築面積の上限は70㎡

このように、同じ広さの土地でも、大きく建てられるのが角地のメリットです。

さらに、防火地域では耐火建築物等、準防火地域では耐火建築物等または準耐火建築物等にする場合も、建ぺい率が10分の1加わります。角地の緩和とこの緩和の両方に当てはまる場合は、10分の2(20%)が加わります(同条第3項)。例えば、準防火地域で建ぺい率の限度が60%の場合、準耐火建築物にして、角地の緩和も受けられれば、80%になります。防火地域の考え方は、防火地域・準防火地域とは?で説明しています。

条件加わる建ぺい率建ぺい率の限度が60%の地域の例
通常なし60%
角地の緩和(特定行政庁の指定)10分の1(10%)70%
防火の緩和(防火地域は耐火建築物等、準防火地域は耐火建築物等または準耐火建築物等)10分の1(10%)70%
角地の緩和と、防火の緩和の両方10分の2(20%)80%

※ この緩和は建ぺい率の緩和です。容積率の限度は、別に決まっています(建築基準法 第52条)。

デメリットと注意点

2面が道路に面する:メインアプローチにしない側の扱い

角地は、2面が道路に面します。そのため、メインのアプローチ(玄関への入口)にしない側の道路をどう扱うかを、計画の段階で考えておく必要があります。

窓や玄関、駐車場をどこに配置するかは、周辺の環境によって変わるため、一概にはいえません。道路の幅や交通量、隣の建物、敷地の向きを見ながら、敷地ごとに決めていきます。

隅切り:角に建物や擁壁を出せない場合がある

角地では、道路の角を切り取る隅切りが求められる場合があります。例えば、大阪府の条例では、一定の道路が曲がる箇所や交差する箇所にある敷地は、角地の隅角を挟む辺の長さ2mの二等辺三角形の部分に、建築物や擁壁などを突き出してはならないと定めています(大阪府建築基準法施行条例 第5条)。大阪市内の敷地には、市の条例に加えて、この府条例も適用されます(大阪市:宅地建物取引業者の方へ)。

ただし、道路にすでに街角の切取りがある場合や、角地の隅角が120度以上の場合は、この限りではありません。隅切りの有無や大きさは、自治体や道路の条件によって違うので、買う前に確認します。

セットバック:道路の幅が4m未満のとき

敷地の前の道路の幅が4m未満の場合、特定行政庁が指定した道は、道路の中心線から水平距離2mの線を、道路の境界線とみなします(建築基準法 第42条第2項)。つまり、敷地の一部を後退させる(セットバック)必要が出ます。角地は2つの道路に面するので、2つの道路それぞれで、確認が必要です。

道路斜線:二方向から受ける

道路斜線は、前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で、建物の高さを制限するものです(建築基準法 第56条)。角地は、この制限を二方向から受けることになります。

前面道路が2つ以上ある場合は、一定の区域では、幅の狭い道路も、幅員の最大な道路と同じ幅とみなして制限を考えます(建築基準法施行令 第132条)。区域の範囲には条件があるので、実際の高さの制限は、敷地ごとに確認する必要があります。

買う前に確かめること:建物のボリュームと高さ

角地の土地を買う前に、YYAでは次の2点を確認します。

  1. 建物のボリュームが、どれぐらいになるか:建ぺい率の緩和を受けられるかどうかで、建てられる大きさが変わります
  2. 建物の高さ:角地は、道路斜線を二方向から受けるため、高さを確認する必要があります

確認の手順は、次のとおりです。

順確かめること理由・確認先
12つの道路の種類と幅建築基準法第42条の道路か、幅は4m以上か。4m未満の場合は、セットバックが必要になることがあります。市町村の窓口で確認します
2角地の建ぺい率の緩和(指定)の有無指定がなければ、通常の建ぺい率です。特定行政庁(市町村など)で確認します
3隅切りの規定と、街角の切取りの有無隅切り部分に建物や擁壁を出せない場合があります
4建てられる建物のボリューム建ぺい率、容積率、高さの制限から決まります(延べ床面積の記事)
5道路斜線による高さの制限2つの道路から、二方向で高さが制限されます
6メインアプローチにしない側の扱い外構や窓を、計画の段階で考えておきます
7日影・北側斜線などの制限角地以外でも関わる制限です(北側斜線、日影規制)

土地を買う前の確認全体は、土地探しは設計事務所に先に相談すべき?で説明しています。

YYAの角地の設計

YYAでも、非公開の案件を含め、角地の設計の経験があります。角地は、建ぺい率の緩和で大きく建てられる一方、二方向から受ける道路斜線や、2面の道路の扱いなど、敷地ごとに考えることがあります。土地を買う前に、設計者が建てられる建物のボリュームと高さを確認しておくと、買ってからの後悔を減らせます。

よくある質問

角地なら、必ず建ぺい率が10%増えますか?

いいえ。角の土地でも、特定行政庁が指定していなければ、緩和は受けられません(建築基準法 第53条第3項)。大阪市のように、道路の幅や、道路に接する長さなどの条件を定めている自治体もあります。

角地は、容積率も緩和されますか?

角地の緩和は、建ぺい率の規定です。容積率の限度は、別に決まっています(建築基準法 第52条)。

隅切りは、必ず必要ですか?

自治体や道路の条件によって違います。大阪府の条例では、一定の道路が曲がる箇所や交差する箇所にある敷地で、隅切りに当たる部分に建築物などを突き出せません。ただし、道路にすでに街角の切取りがある場合などは除かれます。土地のある自治体の条例や窓口で確認してください。

角地は、何を見て選べばよいですか?

まず、建てられる建物のボリュームと高さを確かめてください。建ぺい率の緩和の有無、道路斜線(建築基準法 第56条)、隅切り、セットバックを合わせて見ると、その土地に希望の家が建つかを判断する材料になります。容積率や、日影・北側斜線の制限、予算もあわせて確認します。

ご相談の前に

角地の候補が見つかった段階で、建てられる建物のボリュームと高さを、設計者が確認する敷地チェックをご利用いただけます。ご相談は無料ですが、敷地チェックは有料です(候補地1件ごと、税抜10万円。建物のボリュームイメージと簡易プランをお渡しします。大阪以外の土地は、交通費が別にかかります。設計をご依頼の場合は設計料に充当。YYAの土地探しのご案内)。

ご相談の際は、土地の住所(または不動産会社の資料)、希望の広さや暮らし方、予算を教えてください。

まとめ

角地は、建ぺい率が10%緩和されて大きく建てられるのがメリットです。ただし、緩和は特定行政庁の指定が条件で、指定の条件や隅切りの規定は自治体によって違います。2面が道路に面するので、メインアプローチにしない側の扱いを考える必要があり、道路斜線を二方向から受けるので、買う前に建物のボリュームと高さを確認することが大切です。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

関連記事

下記のバナーからYYAの公式LINEを友だち追加していただくと、角地の候補の土地についてのご相談をLINEでお気軽にお寄せいただけます。

YYA公式LINEで友だち追加

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA