箕面の家

おしゃれな外壁の色と素材の選び方|面積効果・汚れ・防火と景観の確認まで建築家が解説

外壁を「おしゃれ」にするには、色の名前ではなく、明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)・素材の質感・面積で考えると、失敗が減ります。小さな色見本は、大きな壁にすると実物と違って見えることがあります。また、汚れや傷みは色だけでなく、雨水の流れ方でも変わります。

ただし、デザインを決める前に、敷地の防火上の制限と、自治体の景観のルールを確かめてください。地域によっては、使える外壁の仕様や、色の範囲が決まっています。この記事では、外壁の色と素材の選び方を、設計の考え方と、条文・自治体・メーカーの資料から説明します。

外壁は4つの軸で決める

外壁の印象は、次の4つで決まります。納まりとは、部材の取り合いや接合部のつくり方のことです(水切りや見切り、庇の出など)。

軸決めること
色色味(色相)、明るさ(明度)、鮮やかさ(彩度)
素材表面の凹凸、艶、継ぎ目の見え方、経年の変化
面積壁の大きさ、2色にするときの割合
納まり水の切れ方、庇や軒の出、窓まわり、見切り

「おしゃれな外壁の色」を探すとき、写真の色だけを見ると、素材の質感や面積、納まりが抜け落ちます。同じ白でも、吹き付けの白と、金属の白、板張りの白では、見え方も汚れ方も違います。

YYAでは、外壁を決めるとき、街並み、周辺の色、光、予算を全部見ています。そのなかで、優先するのは予算です。そのうえで、建築のコンセプトに合わせて外壁を考え、コストを考慮してふさわしい材料を選びます。

色の系統ごとの考え方

色の系統は、おおまかに、白系、グレー系、ベージュ・茶系、緑・青系に分けられます。どの色がよいかは敷地と好みで変わるので、ここでは選ぶときの見方を整理します。

白系・明るい色

明るい色は、壁が大きくなると、さらに明るく見えます。外壁全体を白にすると、日が当たる面は、まぶしく感じることがあります。少しグレーやベージュが混ざった白にすると、落ち着いた印象になります。

白い外壁の手入れは、白壁の家の記事で詳しく説明しています。

グレー系

グレーは、明度で印象が大きく変わります。明るいグレーは軽く、濃いグレーは締まった印象です。周囲の建物や、屋根・サッシの色と合わせやすい色です。

ベージュ・茶系

ベージュや茶は、周辺の景色や木、土になじみやすい色です。住宅地の街並みにも合わせやすい一方、外壁材によって、同じベージュでも温かみが強く出ることがあります。

緑・青系

緑や青は、植栽や空との関係で見え方が変わる色です。西神中央の家の外壁は、既存の薄いグリーンです。色選びは、周囲の緑や庭との関係で見ると、考えやすくなります。

色見本と実物が違う理由|面積効果

小さな色見本で選んだ色を、実際に外壁のような大きな面に塗ると、違った明るさや色味に見えることがあります。この現象を色の「面積効果」といいます。

小さな色見本と、大きな外壁の面では、同じ色でも明るさが違って見えることを示した図

調布市の景観ガイドでは、面積が大きくなると、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えるので、注意が必要だと説明しています(調布市「ちょうふ景観だより」第22号)。また、家の外壁のように大きな面に派手な色を使うと、より一層派手に見えるので注意が必要だとしています。

確かめ方

YYAでは、大きなサンプルを取り、外の光で確認していただきます。室内の照明と、外の光では、色が違って見えるためです。実際に使う素材と仕上げのサンプルを用意します。入手できる大きさや費用は、素材によって違うので、設計者に確認してください。確認するときは、次の点を見てください。

  • 朝、昼、夕方の光で見る(できれば晴れと曇りの両方)
  • 実際の壁と同じ向きに立てて見る(日が当たる面と、日陰の面で見え方が違う)
  • 屋根・サッシ・玄関ドア・外構の材料と並べて見る

素材の選び方

外壁の素材は、表情、耐久性、手入れ、予算、防火の条件で選びます。代表的な素材を比べます。

外壁材・仕上げ向く条件注意すること
ガルバリウム鋼板シャープでソリッドな外観にしたい。軽い外壁にしたい傷、切断面、海に近い立地は、製品の仕様と保証条件を確認する
サイディング(窯業系など)色や柄の種類から選びたい。予算を抑えたい目地の処理が外観に出る。製品によって表面の仕上げと保証が違う
塗り壁・吹き付け仕上げ(リシンなど)継ぎ目の少ない面にしたい。既存の仕上げを活かしたいひび割れ、汚れの出方。下地の状態の確認が必要。リシンは、細かい骨材を混ぜた材料を吹き付けて仕上げる、ざらっとした質感の仕上げ
木板張り経年の変化を楽しみたい防火地域などでは、使える仕様が限られる。手入れの計画が必要
タイル素材の色と質感を長く保ちたい費用が上がりやすい傾向がある。目地の割付を設計する

費用は、製品、下地、施工方法、施工面積で変わります。同じ工事範囲で初期費用を比べ、維持管理の費用も確認してください。

手入れの方法と推奨の時期は、メーカーの維持管理の資料で確認してください。保証の期間や対象、免責の条件は、手入れの周期や耐用年数とは別のものなので、同じものとして受け取らないでください。

YYAの事例|ガルバリウム鋼板と、既存のリシン

箕面の家は、ひな壇の造成地での建て替えです。施主から外観をかっこよくしたいという要望があり、ソリッドな印象にしたかったので、外壁にガルバリウム鋼板を選びました。

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%のめっきを施した鋼板で、メーカーは、アルミニウムの長期の耐久性と、亜鉛の犠牲防食作用を併せ持つとしています(日本製鉄 溶融めっき鋼板)。

西神中央の家は、築30年の住宅のリノベーションです。既存の外壁がリシンだったので、その仕上げを活かしました。下の写真の面の外壁は既存のままで、テラス側の外壁は塗り直しています。壊して全部つくり直す以外に、今ある外壁を活かすという選び方もあります。

ツートンとアクセントの使い方

外壁を2色にするときは、色の数を絞り、面積に差をつけると、まとまりやすくなります。

自治体の景観基準には、外壁の面積の配分を決めているものがあります。例えば、東京都豊島区の色彩基準では、外壁各面の5分の4を基本色とし、5分の1までを強調色にできるとしています(豊島区の色彩基準。豊島区の基準で、他の自治体にそのまま当てはまるものではありません)。

アクセントにする場所は、玄関まわり、庇の裏、壁の一面など、視線が集まるところです。ただし、各面に色や面積の基準がある地域では、使う色と範囲が基準に適合するかを先に確認します。屋根、サッシ、玄関ドア、外構との色の数が増えすぎないようにします。

汚れを目立たせにくくする設計

外壁の汚れは、色や素材だけでなく、雨水がどこを流れるかで決まります。窓の下、庇の端、水切りの下に、雨だれの筋が出やすくなります。

窓の下に水切りがない外壁では雨だれの筋ができ、水切りがあると雨水が壁から離れて落ちることを比べた断面の図

YYAでは、雨だれは汚れになるので、できるだけ水が切れるディテールにします。設計で考えることは、次のとおりです。

  • 水切りや見切りで、壁を伝う水を途中で外に切る
  • 庇や軒の出で、壁に当たる雨を減らす(庇(ひさし)の記事、破風・鼻隠し・軒天の記事)
  • 窓の下端、開口まわりの納まりを工夫し、水が壁面の同じ場所に集中して流れることを抑える

同じ色の外壁でも、納まりで、数年後の見た目は変わります。ただし、汚れを完全に防げるわけではないので、清掃や点検も必要です。色を選ぶときに、あわせて納まりを設計者と確認してください。

先に確認すること|防火と景観

外壁を決める前に、敷地の制限を確かめます。色や素材が気に入っても、その地域で使えない場合があるからです。

防火の制限

次の区域や部分では、外壁に防火上の性能が求められます。

  • 防火地域・準防火地域
  • 特定行政庁が指定する屋根の不燃化区域(法22条区域)
  • 隣地境界線などに近い延焼のおそれのある部分

延焼のおそれのある部分とは、隣地境界線、道路中心線、同じ敷地内の建物どうしの中心線から、1階は3m以下、2階以上は5m以下にある建物の部分です(建築基準法 第2条第六号)。

例えば、準防火地域の木造で、地階を除く階数が2以下、延べ面積500㎡以下の建築物は、外壁と軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造(令第108条)にします。さらに、延焼のおそれのある部分にある窓や出入口などの開口部には、加熱開始後20分間、屋内側に火炎を出さない性能をもつ防火設備を設けます(建築基準法 第61条、施行令 第136条の2第三号)。防火構造とは、通常の火災で、加熱開始後30分間、屋内側の温度が可燃物の燃焼温度以上に上がらないことなどを求める基準です(施行令 第108条)。

また、屋根の不燃化区域など(法22条区域)の木造建築物の外壁も、延焼のおそれのある部分は、準防火性能を満たす構造にします(建築基準法 第23条)。

これらの外壁の具体的な仕様は、国土交通大臣が定めた構造方法か、大臣の認定で決まります。そのため、木板張りや特定のサイディングが使えるかは、下地を含む外壁の構成が、その構造方法や認定に適合するかで決まります。3階建てや、防火地域では、さらに厳しい基準になります。詳しくは防火地域・準防火地域の記事をご覧ください。

景観のルール

自治体によっては、景観計画で、建物の色彩の基準を定め、一定の規模以上の工事には届出を求めています。例えば、吹田市では、景観形成基準に建築物の色彩などの基準があり、「色彩の景観誘導基準」も別に定めています(吹田市景観デザインマニュアル)。

届出の対象にならない小さな工事でも、街並みに配慮することが勧められています。敷地のある自治体の景観計画と、地区計画を、土地を決める前に確認してください。

設計事務所に頼むと、外壁はどう決まるか

設計事務所では、建築のコンセプトに合わせて、外壁を考えます。外壁だけを先に選ぶのではなく、間取り、窓の位置、屋根の形、庇、周辺の景色との関係から決めます。そのうえで、コストを考慮して、ふさわしい材料を選びます。

標準仕様を中心に選ぶ方法は、選択肢が整理されていて、決めやすいのが利点です。建物のコンセプトや敷地に合わせて、外壁の素材や納まりから個別に検討する方法もあります。対応できる範囲は会社や契約内容によって違うので、候補にできる材料、変更したときの費用、検討できる範囲を確認してください。どちらが向くかは、どこまで自分たちで決めたいか、予算、敷地の条件で変わります。

よくある質問

外壁の色は、何色が人気ですか?

人気の色は時期や地域で変わるため、ここでは順位を示しません。選ぶときは、人気よりも、周辺の街並み、屋根やサッシとの組み合わせ、面積効果、汚れの出方を見てください。

汚れが目立たない外壁の色はありますか?

色だけで決まるわけではありません。まず、汚れを付きにくくするには、雨だれの出やすい場所と、水の切れ方が大きく影響します。そのうえで、付いた汚れを目立たせにくくするには、外壁の色と、付着する汚れ(雨だれや土ぼこりなど)との色の差が小さいほうが、目立ちにくくなる傾向があります。候補の色を、大きなサンプルで比べてください。

外壁を2色にしてもよいですか?

2色にするのは問題ありません。色数を絞り、面積に差をつけると、まとまりやすくなります。自治体によっては、強調色の割合に基準があるので、確認してください。

防火地域で、木の外壁は使えますか?

使える場合があります。必要な防火性能を満たす構造方法や認定の仕様に、下地などを含む外壁の構成で適合するかを確認します。敷地の区域と、隣地境界線までの距離によって変わるので、設計者に確認してください。

外壁の塗り替えは、色を変えられますか?

変えられますが、景観計画の区域では、色の基準や届出が関係する場合があります。大きな面で見え方が変わる面積効果もあるので、大きなサンプルで確認してから決めてください。

ご相談の前に

外観や外壁についてのご相談は無料です。

ご相談の際は、敷地の住所(または不動産会社の資料)、好きな外観の写真、周辺の様子、予算のお考え、手入れにかけられる手間を教えてください。

まとめ

おしゃれな外壁は、色の名前ではなく、明度・彩度・素材の質感・面積・納まりで決めます。小さな色見本と大きな壁では、明るさや鮮やかさが違って見えることがあるので、大きなサンプルを外の光で確認してください。雨だれの汚れは、水が切れる納まりで減らせます。そして、色や素材を決める前に、防火の制限と景観のルールを確かめることが大切です。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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