住宅の屋根の端。妻側の破風板、軒先の鼻隠しと雨どい、軒裏の軒天が見える

破風・鼻隠し・軒天とは?屋根の端の部材の役割と、傷みのサインと直し方、防火の注意|建築家が解説

破風(はふ)・鼻隠し(はなかくし)・軒天(のきてん)は、どれも屋根の端まわりに付く部材です。

  • 破風(破風板):切妻屋根などの妻側(三角形に見える側)の端に、屋根の傾きに沿って付ける板
  • 鼻隠し:軒先(雨どいが付く側)で、垂木(たるき)の先端を隠すために付ける横板
  • 軒天(軒天井):外壁から外に出た屋根(軒)の裏側に張る天井

3つとも、屋根の下地や垂木を雨風から守り、屋根の端をきれいに見せる役割があります。外まわりの中でも雨や日差しを受けやすく、塗装のはがれやシミが出やすい場所なので、外壁や屋根と一緒に点検しておくと安心です。

住宅の屋根の端。妻側の破風板、軒先の鼻隠しと雨どい、軒裏の軒天が見える

3つの部材の違い

破風(破風板)鼻隠し軒天(軒天井)
位置妻側の屋根の端(屋根の傾きに沿う)軒先の屋根の端(水平)軒の裏側
役割屋根の端の下地を雨風から守る。妻側の外観を整える垂木の先端(木口)を隠して守る。雨どいを取り付ける下地になる軒の裏を覆い、垂木や下地を守る。延焼を防ぐ役割を求められることもある
ある屋根の形切妻・入母屋・片流れの妻側ほとんどの屋根の軒先軒の出がある屋根
よくある傷み塗装のはがれ、板の反り・割れ塗装のはがれ、雨どいの金具まわりの傷みシミ、はがれ、たわみ、黒ずみ

(定義:JAANUS「hafu」、「nokiura」、コトバンク「鼻隠し」(デジタル大辞泉))

屋根の形と、破風ができる側・できない側の関係は、屋根の形の種類の記事で説明しています。寄棟の屋根は四方が軒先になるので、破風はなく、鼻隠しが四方に回ります。

軒天のシミは雨漏りのサインのことも

軒天にシミや黒ずみが出ている場合、塗装の劣化だけでなく、屋根や雨どいからの雨水の回り込みが原因のことがあります。軒天だけを張り替えたり塗り直したりしても、原因を止めなければ再発します。

見えるサイン考えられる原因確かめること
軒天のシミ・はがれ屋根の端や雨どいからの雨水の回り込み、結露屋根の端の状態、雨どいのつまりや外れ
軒天のたわみ・穴下地の腐れ、湿気、鳥や虫下地の状態。小動物が入っていないか
破風・鼻隠しの塗装のはがれ日差しと雨による劣化板そのものが傷んでいないか(反り・割れ・腐れ)
破風・鼻隠しの反り・割れ木部に水がしみ込んだ交換が必要か、カバーで済むか
軒裏を見上げた様子。軒天の一部にシミがあり、点検が必要な状態

直し方の考え方

方法内容向く状態
塗装表面を塗り直して、板を守る塗装の劣化だけで、板そのものは傷んでいない
カバー(板金で包む)既存の板の上から金属の板で包む板の傷みが軽く、今後の塗り替えの手間を減らしたい
張り替え・交換傷んだ板を外し、新しくする反り・割れ・腐れがある。下地まで傷んでいる

高い場所なので、足場が必要になることがほとんどです。YYAでは、どの方法にするかを決めるときに、まず足場を建てられるか(隣地との距離、敷地の広さ)を確かめます。足場を建てにくい場所では、次に手を入れるまでの期間が長くなる方法を選ぶなど、工事のしやすさも含めて判断します。外壁や屋根の塗装・改修と同じ時期にまとめると、足場を一度で済ませられます。平屋の外壁の手入れについては平屋の外壁の記事でも説明しています。

防火の決まりと軒裏

市街地では、火事のときに隣の建物へ燃え広がらないよう、外壁や軒裏に防火の性能が求められることがあります。

  • 延焼のおそれのある部分:隣地境界線や道路の中心線などから、1階は3m以下、2階以上は5m以下の範囲(建築基準法 第2条第6号)
  • 準防火地域:地階を除く階数が2以下、延べ面積500㎡以下の木造の建物などでは、外壁と軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造の基準に合わせる方法があります(建築基準法 第61条、建築基準法施行令 第136条の2)

軒天を張り替えるときに、材料を自由に変えてよいとは限りません。地域の指定(防火地域・準防火地域など)と、建てたときの仕様を確認してから材料を選びましょう。

軒の出と建築面積

軒は、外壁から外に出すほど外壁や窓を雨と日差しから守れます。ただし、軒やひさしが外壁(またはそれに代わる柱)の中心線から1m以上出る場合は、その先端から1m後退した線までが建築面積に入ります(建築基準法施行令 第2条第1項第2号)。軒の出と庇の考え方は、庇(ひさし)の記事で説明しています。

ご相談の前に

破風・鼻隠し・軒天の傷みは、屋根や雨どい、外壁の状態と一緒に見ると、直す範囲と時期を判断しやすくなります。ご相談の際は、傷んでいる場所の写真(できれば少し離れた位置からと近くから)、建てた年、これまでの塗装や改修の時期、雨漏りやシミの有無を教えてください。

まとめ

破風は妻側、鼻隠しは軒先、軒天は軒の裏側に付く、屋根の端まわりの部材です。どれも雨と日差しを受けやすく、塗装のはがれやシミが傷みのサインになります。軒天のシミは雨水の回り込みが原因のこともあるので、原因を確かめてから直しましょう。防火の指定がある地域では軒裏の材料に決まりがあるため、張り替える前に確認が必要です。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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