天窓(てんまど)とは、屋根に設ける窓のことです。トップライトとも呼ばれます。空に向いているので、壁の窓よりも多くの光を部屋の奥まで届けられます。
一方で、天窓は夏の暑さ、まぶしさ、雨漏り、掃除で後悔しやすい窓でもあります。付けるかどうかは「壁の窓では光が届かない場所か」で考え、付ける場合は、方角・大きさ・日よけ・屋根との取り合い(雨仕舞い)を一緒に決めることが大切です。

天窓のメリット
- 明るい:建築基準法では、採光に有効な窓の面積を計算するとき、天窓は壁の窓の3倍として数えます(補正係数の上限は3.0。建築基準法施行令 第20条)。それだけ光を取り込みやすい窓です
- 隣の家の影響を受けにくい:住宅が密集していて壁に窓をとれない場所でも、空から光を取れます
- 視線が気にならない:外から部屋の中が見えにくく、カーテンを開けたまま過ごせます
- 風が抜ける:開けられる天窓なら、暖かい空気が上から抜け、風通しを助けます
天窓のデメリット
| デメリット | 理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 夏に暑い | 真上から日射を受け、熱が部屋に入る | 遮熱性の高いガラスを選ぶ。日よけ(ブラインド・シェード)を付ける。南や西の屋根を避ける |
| まぶしい | 直射日光が真上から差し込む | 光を拡散するガラスやスクリーンを使う。机やテレビの真上に付けない |
| 雨漏りが心配 | 屋根に穴を開けるため、取り合い部分から水が入るおそれがある | 屋根の形と勾配に合ったメーカーの部材を使い、施工方法を守る。定期的に点検する |
| 掃除しにくい | 高い位置にあり、外側は屋根の上 | 手が届く位置・大きさにする。汚れが目立ちにくい場所を選ぶ |
| 冬に寒い・結露する | ガラス面から熱が逃げ、冷えた面に結露が出る | 断熱性の高い製品を選ぶ。換気を計画する |
| 音が気になる | 雨が直接ガラスに当たる | 寝室の真上を避ける |
天窓が向いている場所・向かない場所
| 向いている場所 | 理由 |
|---|---|
| 北側の部屋、廊下、階段 | 壁の窓では暗くなりやすい場所を明るくできる |
| 住宅密集地のリビング | 隣家に囲まれていても空から光を取れる |
| 浴室・洗面所 | 外からの視線を気にせず明るくできる(湿気の多い部屋は換気と結露対策を一緒に) |
| 向かない・慎重に考えたい場所 | 理由 |
|---|---|
| 寝室の真上 | 朝のまぶしさや雨の音で眠りを妨げることがある |
| 西日の当たる屋根面 | 夏の午後に熱がこもりやすい |
| テレビや机の真上 | 画面の映り込みや手元のまぶしさ |
YYAでは、周囲が建て込んでいて壁の窓を開けにくい敷地や、マンションの横など、窓から覗かれるおそれのある立地で、天窓を勧めることがあります。箕面の家(大阪府箕面市、2024年竣工)でも天窓を設けています。

高い位置の壁に窓を設ける高窓(ハイサイドライト)は、天窓より雨漏りや暑さの心配が少ない方法です。どちらがよいかは、隣家との距離と、光を届けたい場所で決めます。

雨漏りを防ぐ考え方
天窓の雨漏りは、ガラスそのものより、屋根と窓枠の取り合いや、屋根の上で水やごみがたまる場所から起こりやすくなります。
- 屋根の勾配と屋根材に合った天窓とその部材(防水の部材)を選ぶ
- 谷になる部分や、棟の近くなど水が集まる場所を避ける
- 落ち葉が多い場所では、天窓のまわりにごみがたまらないかを確かめる
- 定期的に、屋根の上の状態や室内側のシミを点検する
新築住宅の場合、売主・請負人は、引き渡しから10年間、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について責任を負います(住宅の品質確保の促進等に関する法律 第94条・第95条)。この「雨水の浸入を防止する部分」には、屋根や、その開口部に設ける戸・わくその他の建具も含まれます(同法施行令 第5条)。天窓のまわりから雨漏りした場合も対象になり得るので、引き渡しの書類と保証の内容を確認しておきましょう。
暑さ・まぶしさの対策
- 方角:北向きの屋根面の天窓は、直射日光が入りにくく、一日を通して光が安定します
- ガラス:遮熱・断熱の性能が高いガラスや、光を拡散するガラスを選びます
- 日よけ:室内側のブラインドやシェード、外側の日よけを付けます。手が届かない高さなら、電動や竿で操作できるものにします
- 大きさ:大きいほど明るくなる一方、暑さも増えます。光を届けたい場所に必要な大きさに絞ります
後から塞ぎたいとき
天窓を付けた後に、暑さや雨漏りで「塞ぎたい」という相談もあります。方法は大きく2つです。
| 方法 | 内容 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 室内側から塞ぐ | 天井側で天窓をふさぎ、日よけや断熱材を入れる | 屋根側の天窓は残るので、雨漏りの原因が天窓なら解決しない |
| 屋根ごと塞ぐ | 天窓を外し、屋根の下地と屋根材をつくり直す | 屋根工事になる。屋根材をそろえられるか確かめる |
雨漏りが理由なら、まず原因の場所を調べてから方法を決めます。塞いだあとの部屋の明るさも、あわせて考えておきましょう。
ご相談の前に
天窓は、敷地の条件(隣家との距離、方角)と、どの部屋をどう明るくしたいかで、付けるべきかどうかが変わります。ご相談の際は、敷地の配置や周りの建物の様子、明るくしたい部屋と時間帯、今の家で暗い・暑いと感じている場所を教えてください。
まとめ
天窓は、屋根に設ける窓で、壁の窓より多くの光を取り込めます。一方で、暑さ・まぶしさ・雨漏り・掃除で後悔しやすい窓でもあります。壁の窓では光が届かない場所に絞り、方角・大きさ・日よけ・屋根との取り合いを一緒に計画することが、後悔しないための近道です。
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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