ヌック(nook)とは、部屋の一角につくる、こもれる小さな居場所のことです。英語で「隅」「奥まった場所」という意味があります。窓辺のベンチ、階段の下、天井を少し低くしたくぼみなどに、座ったり寝ころんだりできる場所をつくります。
ヌックは、家族の気配を感じながら、ひとりで落ち着ける場所として人気があります。ただ、場所や大きさを間違えると「使わない」「物置になった」と後悔しやすい場所でもあります。つくる前に、誰が、いつ、どんな姿勢で使うかを決めておくことが大切です。

ヌックと小上がり・スタディーコーナー・ロフトの違い
| ヌック | 小上がり | スタディーコーナー | ロフト | |
|---|---|---|---|---|
| どんな場所か | 部屋の一角の、こもれる小さな居場所 | 床を一段上げたスペース(畳が多い) | 机と椅子のある作業・学習の場所 | 天井の高い部屋の上部につくる空間 |
| 主な使い方 | くつろぐ、本を読む、昼寝 | 座る、寝ころぶ、床下収納 | 勉強、在宅ワーク | 収納、寝る、遊ぶ |
| 広さ | 小さい | 数畳程度のことが多い | 机の幅程度 | 部屋の上部の一部 |
| 気をつけること | 使う人と目的が決まっていないと使われない | 段差、掃除 | 照明と姿勢 | はしごの上り下り、夏の暑さ |
小上がりについては小上がりの和室の記事、机のある学習スペースについてはスタディーコーナーの記事で説明しています。
ヌックが向いている場所
- リビングの一角:家族と同じ空間にいながら、少し離れて過ごせる。子どもの遊び場や読書の場所に
- 窓辺:窓の下にベンチをつくり、外の景色を眺めながらくつろぐ。低い位置の窓(地窓)と組み合わせる方法もある
- 階段の下・踊り場:使いにくい空間を居場所に変えられる
- 寝室や子ども部屋の一角:寝る前に本を読む、ひとりになりたいときの場所に

大きさと天井の高さの考え方
ヌックの大きさは、「○畳あればよい」と決まったものではありません。次の点から決めます。
- 何人で使うか:ひとりで使うのか、親子で並んで座るのか
- どんな姿勢で使うか:座る、足を伸ばす、寝ころぶで、必要な奥行きが変わります
- 何を置くか:本棚、クッション、照明、コンセント
天井を低くしてこもり感を出すこともあります。このとき気をつけたいのが法令の天井の高さです。居室の天井の高さは2.1m以上と決められていて、一つの部屋の中で天井の高さが違う場合は、その平均の高さで判断します(建築基準法施行令 第21条)。リビングの一角を低くしても、部屋全体の平均で考えるということです。天井を部分的に下げる方法は、下がり天井の記事でも説明しています。
後悔しやすい点と対策
| 後悔 | よくある理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 使わない・物置になった | 使う人と目的が決まっていない。家族のいる場所から遠い | 誰が何に使うかを決め、リビングなど家族が集まる場所の近くにつくる |
| 暗い | 奥まった場所で、窓や照明がない | 窓の位置を合わせる。手元を照らす照明とコンセントを付ける |
| 夏に暑い・冬に寒い | 窓辺は外の暑さ寒さを受けやすい。エアコンの風が届かない | 断熱性の高い窓を選ぶ。空調の風が届く位置か確かめる |
| 狭くて落ち着かない | 座る姿勢や置く物に対して小さすぎる | 実際に座る・寝ころぶ寸法を家具や床にテープを貼って確かめる |
| 子どもが成長して使わなくなった | 子ども向けの大きさ・形にした | 大人も座れる大きさにし、将来は読書や収納に使えるようにする |
| 掃除がしにくい | 段差や狭いすき間に、ほこりがたまる | 床の高さや形を単純にし、掃除機が入るようにする |
後付けでつくる方法
新築時につくらなくても、家具でヌックのような場所をつくることができます。
- 窓辺にベンチを置く:収納付きのベンチなら、クッションや本もしまえます
- 本棚で囲う:背の低い本棚で部屋の一角を囲い、内側にクッションを置きます
- ソファの代わりにする:ローソファや大きなクッションを置き、照明を一つ足します
家具でつくる場合は、窓や照明、コンセントの位置は変えられません。新築やリフォームで計画する場合は、窓・照明・コンセント・空調を一緒に決められるのが利点です。
ご相談の前に
ヌックは、間取り全体の中で「家族がどこで過ごすか」と一緒に考えると、使われる場所になります。ご相談の際は、ヌックを使いたい人と使い方(読書、昼寝、子どもの遊びなど)、ほしい場所(リビング・窓辺・階段の下など)、今の住まいで落ち着ける場所・落ち着けない場所を教えてください。
まとめ
ヌックは、部屋の一角につくる、こもれる小さな居場所です。小上がりやスタディーコーナーとは目的が違い、くつろぐための場所として計画します。使う人と使い方を決め、家族のいる場所の近くに、窓・照明・空調を合わせてつくることが、後悔しないための近道です。天井を低くする場合は、部屋全体の平均の天井の高さにも注意しましょう。
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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