玄関の土間と床の境目にある木の上がり框。横に手すりと腰掛けのベンチがある

上がり框とは?読み方と高さの目安、手すり・段差解消の考え方|建築家が解説

上がり框(あがりかまち)とは、玄関の土間と、家の中の床との段差の部分に付ける横材のことです。靴を脱いで上がるときに足を掛け、腰を下ろすこともある場所です。

上がり框の高さは、低すぎても高すぎても使いにくくなります。高齢になったときの上り下りを考えるなら、国の住宅性能表示制度の基準では、上位の等級で段差を110mm以下(地面に接する階の玄関は180mm以下)にすることが求められています。段差が大きい場合は、式台(しきだい)で段差を分けたり、手すりを付けたりして使いやすくします。

玄関の土間と床の境目にある木の上がり框。横に手すりと腰掛けのベンチがある

上がり框とは

玄関は、靴のまま入る「土間」と、靴を脱いで上がる「床」に分かれています。この境目の段差に付ける横材が上がり框です。「框(かまち)」は、床や建具の端に付ける横材のことで、玄関の段差に付くものを特に上がり框と呼びます。

上がり框は、床の端をきれいに納める役割と、毎日足を掛けても傷みにくい丈夫な材料で段差を守る役割を持っています。

なぜ玄関に段差があるのか

木造の家では、1階の居室の床の高さを、直下の地面から45cm以上にすることが法令で決められています。地面から上がってくる湿気で、床が腐らないようにするためです。ただし、床下をコンクリートなどで覆う場合などはこの限りではありません(建築基準法施行令 第22条)。

いまの住宅の多くは床下をコンクリートで覆う基礎でつくられていますが、床下の点検や配管のための空間も必要です。そのため家の中の床は外の地面より高くなり、土間との間に段差ができます。この段差をどこで、どのくらいの高さで分けるかを決めるのが、上がり框の計画です。

高さの目安と基準

住宅性能表示制度の評価方法基準(高齢者等への配慮)では、上位の等級で、玄関の上がりかまちの段差を次のようにすることが求められています(国土交通省 資料)。

項目基準
上がりかまちの段差110mm以下
地面に接する階(一戸建ての1階など)にある玄関180mm以下
奥行き300mm以上の式台を設ける場合土間と式台、式台と上がりかまちの、それぞれの段差で判断する
手すり上がりかまちの上り下りや、靴の着脱のための手すりを設置できるようにする

この基準は、住宅性能表示制度を使う場合の等級の目安です。すべての住宅に義務づけられているものではありませんが、上り下りのしやすさを考えるときの一つの物差しになります。

段差の高さ使いやすさ気をつけること
低い上り下りが楽。車いすやベビーカーにも対応しやすい雨の日の水や砂が床に上がりやすい。靴を脱ぐ位置が分かりにくい
高い土間と床がはっきり分かれる。腰掛けて靴を履きやすいこともある上り下りの負担が大きく、つまずきやすい。式台や手すりが必要になる
土間と床の間に式台を置き、段差を2段に分けた玄関

素材の選び方

上がり框は、毎日足を掛け、靴や荷物が当たる場所です。素材は、見た目だけでなく、傷・水・滑りにくさで選びます。

素材特徴気をつけること
無垢の木足ざわりがやわらかく、床とつながって見える傷やへこみがつきやすい。水ぶきが多いとシミになることがある
木目の化粧材(合板など)色や木目がそろい、傷に強い製品もある角が欠けると補修しにくいものがある
石・タイル水や傷に強く、土間とつなげて見せられる冬に冷たく、濡れると滑りやすいものがある

YYAでは、上がり框に浮造り(うづくり)のフローリングを使うことを勧めています。浮造りは、木の表面をこすって木目の凹凸を浮き立たせた仕上げです。床の素材とそろえるか、土間の素材とそろえるかで、玄関の印象が変わります。土間の広い玄関については土間のある家の記事、玄関の外側については玄関ポーチの記事で説明しています。

手すりと腰掛けを考えておく

上がり框の近くに手すりがあると、上り下りや靴の着脱がずっと楽になります。新築のときに手すりを付けなくても、あとから手すりを付けられるように壁の中に下地を入れておくと、将来の工事が簡単になります。

腰を下ろして靴を履けるベンチや、上がり框の横の収納の天板を腰掛けにする方法もあります。腰掛ける高さと、靴を置く位置を一緒に考えておくと、玄関が使いやすくなります。

段差を低くする・なくす

上がり框の段差を低くしたり、ほとんどなくしたりする玄関もあります。

  • よいところ:つまずきにくく、車いすやベビーカーでも出入りしやすい。玄関が広く見える
  • 気をつけること:雨の日の水や砂が家の中に入りやすい。どこで靴を脱ぐかが分かりにくい。床下の高さや基礎のつくり方を合わせて計画する必要がある

YYAでは、高齢の方が暮らす家で、段差をなくす玄関を勧めています。段差を低くする場合は、土間の素材の色を変える、靴を脱ぐ位置に目印となる線を入れるなどで、境目を分かりやすくします。

リフォームで段差を使いやすくする

今の家の上がり框が高く、上り下りがつらい場合は、次のような方法があります。

方法内容
式台を置く土間と床の間に踏み台のような段を置き、段差を2段に分ける
手すりを付ける上がり框の横の壁に、縦や斜めの手すりを付ける
床の高さを変える玄関ホールの床の一部を下げる、土間を上げるなどして段差を小さくする(工事が大きくなる)
ベンチを置く座って靴を履けるようにし、立ったまま片足になる時間を減らす

介護が必要な方の住まいでは、介護保険の住宅改修で「手すりの取付け」や「段差の解消」が対象になります。支給限度基準額は20万円で、そのうち原則9割が支給されます(厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。工事の前に申請が必要なので、先にケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してください。

築年数のたった家では、玄関だけでなく家の中の段差や寒さも一緒に見直すと、住みやすさが大きく変わります。古い家の改修については築50年・築40年の家の記事でも説明しています。

ご相談の前に

上がり框の高さは、玄関の広さ、床下の高さ、家族の年齢や暮らし方によって答えが変わります。ご相談の際は、新築かリフォームか、今の玄関の写真と段差の高さ、玄関を使う家族の状況(小さなお子さん、ご高齢の方、車いすの使用など)を教えてください。

まとめ

上がり框は、玄関の土間と床の段差に付ける横材です。木造の家は床を地面から上げる必要があるため、玄関には段差ができます。上り下りのしやすさを考えるなら、国の基準の一つとして110mm以下(地面に接する階の玄関は180mm以下)が目安になり、段差が大きい場合は式台や手すりで使いやすくできます。素材は傷・水・滑りにくさで選び、将来のために手すりの下地も入れておきましょう。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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