キッチンの寸法は、高さ・奥行き・通路幅の3つを先に決めると、あとの寸法が決まりやすくなります。
高さは、JIS(日本産業規格)で800・850・900・950mmの4種類です。目安は「身長÷2+5cm」で、身長160cmなら85cmです。奥行きは600mmか650mm、アイランドなどの対面型は75〜100cmほどになります。通路幅は、メーカーの解説では100〜120cmが目安です。

キッチンの寸法の基本:JIS A 0017の規格値
システムキッチンの各部の寸法は、JIS A 0017(キッチン設備の寸法)に定められています。表の数値は、JIS A 0017:2018の表1によります。
| 部分 | 規格の寸法 |
|---|---|
| ワークトップ(作業台)の高さ | 800・850・900・950mm |
| ワークトップ・フロアーユニット(下の収納)の奥行き(呼び寸法) | 600・650mm |
| 床から吊り戸棚(ウォールユニット)の下端までの高さ | 50mm刻み。最小は1,300mm |
| 吊り戸棚の奥行き(呼び寸法) | 400mm以下 |
| ユニットの幅(呼び寸法) | 100mm刻み、または150mm刻み |
| ワークトップの厚さ | 40mm以下 |
実際のキッチンは、メーカーごとの商品の寸法に従います。設計の段階では、この規格値の範囲で、使う人と部屋の広さに合わせて選びます。
高さの決め方
身長から計算する
高さの目安は、次の式で求めます(TOTOの解説)。
- 身長÷2+5cm:身長160cmなら85cm、170cmなら90cm
- より正確な方法として、肘を90度に曲げた高さから10〜15cm引いた値も紹介されています
計算した値に近い、5cm刻みの高さを選びます。
迷ったときの考え方
同じTOTOの解説では、次の点を挙げています。
- 低すぎると、腰が痛くなったり、水がはねたりしやすい。高すぎる場合は、スリッパやマットで2〜3cmほど調整できる
- ガスコンロを置くと、五徳の分(約5cm)が加わって、鍋の位置が高くなる
- 家族で身長差があるときは、いちばん長く使う人を基準にする
- ショールームで、スリッパを履き、まな板を置いて包丁を使う動作をして確かめる
高さは、住んでから変えにくい寸法です。図面だけで決めず、実際に立って確かめることをおすすめします。
吊り戸棚との関係
JISでは、床から吊り戸棚の下端までを、最小1,300mmとしています。作業台の高さが850mmのとき、作業台の面から吊り戸棚の下端までの間隔は、計算すると450mmです。作業台の高さを上げると、この間隔は狭くなります。
吊り戸棚をつける場合は、作業台の高さを決めてから、吊り戸棚の高さを決めます。吊り戸棚をなくす場合の収納の考え方は、対面キッチンの収納の記事で説明しています。
奥行き・間口の目安
メーカーの解説では、キッチンのタイプごとに、次の寸法が示されています(トーヨーキッチンスタイル、リフォームスムーズ)。
| タイプ | 奥行き | 間口(幅) |
|---|---|---|
| I型(壁付け) | 60〜65cm | 210〜300cm |
| L型 | 60〜65cm | 長辺180〜270cm、短辺165〜180cm |
| ペニンシュラ型(片側が壁につく対面型) | 75〜100cm | 180〜270cm |
| アイランド型(四方が空いた対面型) | 75〜100cm | 240〜270cm |
アイランド型は、トーヨーキッチンスタイルの解説で、幅240〜270cmが一般的な住宅の標準とされています。奥行きを大きくすると、向かい合って2人で作業しやすくなりますが、そのぶんダイニングのスペースが小さくなります。

通路幅の目安
キッチンの前後の通路は、トーヨーキッチンスタイルの解説で、100〜120cmが理想的とされています。複数人で料理をしたり、配膳が多かったりするときは、もっと広くとります。
通路幅を決めるときは、次の点を確かめます。
| 確かめること | 見方 |
|---|---|
| 引き出しと扉の開閉 | 背面の収納の引き出しを開けた状態で、人が通れるか |
| 冷蔵庫 | 扉の開く向きと、開けたときの通路の残り |
| 食洗機・ゴミ箱の位置 | 動線をふさがないか |
| 2人で立つ場合 | すれ違うときに、体がぶつからないか |
通路幅は、カタログの数値だけでなく、実際の機器の扉の寸法を図面に入れて確かめます。リフォームのときは、まず今のキッチンの通路幅をはかっておきます。
作業の動線:ワークトライアングル
シンク・コンロ・冷蔵庫の3点を結んだ三角形を、ワークトライアングルといいます。3辺の合計は、360〜600cmほどが目安とされています(トーヨーキッチンスタイル)。
短すぎると窮屈になり、長すぎると移動が増えます。間口を大きくしたアイランド型は、長くなりやすいので注意します。
換気扇の位置は法律で決まっている
火を使う調理室の排気口は、建築基準法施行令で、天井から下方80cm以内の高さに設けるとされています。排気フード(レンジフード)を使う場合は、適当な位置とされています(建築基準法施行令 第20条の3)。
天井高とレンジフードの位置は、キッチンの高さを決めるときに一緒に確かめます。壁と天井の仕上げの決まりは、キッチンの仕上げの記事で説明しています。
実例:西神中央の家のキッチン
YYAが設計した西神中央の家は、築30年の戸建てのリノベーションです。小部屋が多かった間取りを、大きなワンルームにしました。キッチンは、その大きなLDKの一部として計画しています。

大きな空間では、キッチンの位置や向きが、部屋全体の使い方を左右します。寸法は、キッチン単体ではなく、LDK全体の中で決めることが大切です。
ご相談の前に
キッチンの寸法は、使う人の身長と、部屋の広さで変わります。ご相談の際は、次の内容を教えてください。
- 主に料理をする人の身長
- 家族の人数と、一緒に料理をする人数
- LDKの広さ(図面があれば)
- 冷蔵庫・食洗機・レンジなど、置きたい機器
- 今のキッチンの困りごと
まとめ
キッチンの高さは、JISで800・850・900・950mmです。目安は「身長÷2+5cm」で、実際に立って確かめます。奥行きは600mmか650mmで、対面型は75〜100cmほどです。通路幅は100〜120cmを目安に、扉の開閉まで確かめます。換気扇の排気口は、天井から下方80cm以内に設けます。寸法は、LDK全体の広さの中で決めます。
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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