高低差のある斜面に建つ、コンクリート打ち放しの住宅の外観イメージ

コンクリートの家で後悔しないために|断熱・汚れ・費用・土地の考え方を建築家が解説

コンクリートの家の住み心地は、断熱材の位置と性能に加え、窓、日射、換気・空調、施工の質で変わります。この記事では、外観との関係が深い断熱をどこに入れるかを中心に説明します。「コンクリートの外観を見せたい」という要望であれば、YYAでは内断熱(室内側に断熱材を入れる方法)を基本に考えます。外断熱(屋外側に断熱材を入れる方法)では、断熱材と外装材でコンクリートの外壁面が覆われ、その面を打ち放しで見せることができないためです。

もう一つ、設計で決めておきたいのが汚れです。打ち放し(型枠を外したコンクリートの面を、そのまま仕上げとする方法)の外壁は、雨水の流れ方で汚れ方が変わります。YYAでは、水切りをつけて壁面の汚れを抑え、撥水剤を塗って汚れの付着を軽減します。費用の目安は、YYAでは工事費で坪200万円以上(税込。外構、設計料、申請は別。2026年10月時点)です。この記事では、断熱、汚れとメンテナンス、費用、土地の考え方、設計者に確認することを順に説明します。

高低差のある斜面に建つ、コンクリート打ち放しの住宅の外観イメージ

コンクリートの家とは

ここでいう「コンクリートの家」は、鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅を指します。鉄筋を組み、その周りにコンクリートを流し込んでつくる構造です。外壁や内壁のコンクリートの面を、そのまま仕上げとして見せるのが打ち放しです。

コンクリートとモルタル、セメントの違いは、モルタルの記事で説明しています。この記事では、住宅としてコンクリートの家を選ぶときの判断に絞ります。

断熱はどこに入れるか|内断熱と外断熱

「コンクリートの家は夏暑く、冬寒い」「結露する」と聞くことがあります。これは、コンクリートという素材だけで決まるものではなく、断熱をどこに、どのように入れるかと、施工の質などに左右されます。

政府の答弁書(1999年)では、鉄筋コンクリート造の住宅の内断熱・外断熱について、次のように説明されています。

内断熱(左)と外断熱(右)で、鉄筋コンクリートの壁と断熱材の位置を比べた断面図
内断熱外断熱
断熱材の位置躯体(コンクリート)の室内側躯体の屋外側
結露の起こり方断熱材と内装材の間に防湿層が適切にないと、冬の暖房時に、躯体と断熱材の境界付近に結露が起こることがある。断熱材が薄いと、室内の壁の表面にも結露が起こることがある断熱材と外装材の間に空気層が適切にないと、冬の暖房時に、その境界付近に結露が起こることがある。急に室温が上がると、室内の壁の表面に結露が起こることがある
暖冷房の効き方躯体の温度の影響を受けにくく、暖冷房の効果が短時間で現れやすい。終了後は効果が続きにくい躯体の温度の影響を受けやすく、暖冷房の効果が現れにくいが、終了後は効果が続きやすい
熱橋(柱・梁など、周囲より熱が伝わりやすい部分)梁や床のスラブなどで、断熱の連続性を検討する必要がある(答弁書は、熱橋の影響を減らすには外断熱が有効な面があるとしている)熱橋の影響を減らすには、外断熱が有効な面がある

答弁書は、どちらが結露を起こしやすいか、どちらの暖冷房の効果が高いかを、一概には断定できないとしています。施工の方法や温湿度などの条件で、結果が変わるためです。この答弁書は、マンションの外断熱に関する質問への回答で、1999年のものです。外断熱でも内断熱でも、工法や各層の構成、室内外の温湿度によって、結露の検討が必要です。いまの省エネ基準の数値や、個別の住宅の仕様は、設計者に確認してください。

外壁を打ち放しで見せたいなら、内断熱

外断熱は、コンクリートの外側に断熱材をつけ、その外側に外装材で仕上げます。そのため、外断熱で覆った部分では、コンクリートの面を打ち放しとして見せることはできません。YYAでは、「コンクリートの外観にしたい」という要望があるときは、内断熱を基本に考えます。

内断熱では、熱橋(梁や床のスラブなど、コンクリートがつながっている部分を通って、熱が逃げやすい箇所)に注意が必要です。結露を防ぐには、防湿層(湿気が断熱材に入るのを防ぐ層)や断熱材の厚さ、換気の計画を、設計の段階で決めておく必要があります。具体的な断熱材の種類と厚さ、結露の計算は、設計者に確認してください。

外観が気にならないのであれば、外断熱を含めて、方式を比べて選ぶこともできます。

打ち放しの汚れ、ひび割れ、メンテナンス

打ち放しの外壁は、雨の水が壁面を流れるときに、汚れが筋になって残ることがあります。YYAでは、設計と仕上げで次のことを行います。

  • 水切りをつける: 雨水が壁面を伝って汚れが広がらないように、水の流れを切る部材や形状を、設計で決める
  • 撥水剤を塗布する: 吸水や汚れの付着を軽減するために、コンクリートの表面に撥水剤を塗る

これらは、汚れを抑えるための対策です。対策をしても汚れは生じるため、状態に応じた清掃や、撥水剤の再塗布が必要になることがあります。撥水剤の種類と、効果の持続期間は、製品によって異なります。採用する製品と、塗り直しの目安は、施工会社に確認してください。

コンクリートのひび割れは発生します。YYAでは、ひび割れを誘う誘発目地(あらかじめ入れる溝で、ひび割れの位置を決めやすくするもの)を入れますが、それでもひび割れは入るものとして、施主に事前に伝えています。ひび割れが入ったときは、幅や深さ、漏水の有無を、設計者や施工会社に見てもらい、補修が必要か、どのような方法で行うかを判断します。補修の方法によっては、跡が残ることもあります。外壁の表面だけでなく、開口部のまわりや屋上なども、点検の対象です。引渡しのときに、点検の窓口と、補修の方針を確認しておくと安心です。

鉄筋を守る「かぶり厚さ」

鉄筋コンクリートでは、鉄筋を、コンクリートで覆って守ります。この厚さをかぶり厚さといい、建築基準法施行令第79条で、最小値が決められています。

部位かぶり厚さ(最小)
耐力壁以外の壁、床(土に接しないもの)2cm以上
耐力壁、柱、はり(土に接しないもの)3cm以上
直接土に接する壁、柱、床、はり、布基礎の立上り部分4cm以上
基礎(布基礎の立上り部分を除く。捨てコンクリートの部分を除く)6cm以上

この規定は、水・空気・酸・塩による鉄筋の腐食を防ぎ、鉄筋とコンクリートを有効に付着させるためのものです(同条第2項)。表の最小値には、同条第2項に定める、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材や、国土交通大臣の認定を受けた部材についての例外があります。適用の条件は、設計者や構造設計者に確認してください。

これは法律の最低限の数値です。実際の設計で何cmにするかは、設計者と構造設計者が決めます。

費用の目安

YYAでは、RC造の工事費は、坪200万円以上です(2026年10月時点。税込。外構工事、設計料、申請は別)。「坪」は延べ床面積あたりの単価です。

仮に、延べ床面積が30坪であれば、工事費は6,000万円以上となる計算です(この計算例は、YYAの目安の単純な掛け算で、実際の金額ではありません)。外構工事、設計料、申請の費用は、これに含まれません(設備と仮設の工事は含みます)。そのほかの費用(解体、地盤改良など)の含み方は、見積もりで確認してください。設計料については、設計料の記事をご覧ください。

工事費は、規模、形状、仕上げ、断熱の仕様、敷地の条件、時期によって変わります。会社ごとに見積もりの範囲(外構、解体、地盤改良、設計料を含むか、税込か税別か)が異なるため、比べるときは範囲をそろえてください。

土地の考え方

YYAでは、土に接している、高低差のある土地は、コンクリートの家に向いていると考えています。土を留める部分は、RC造にすることになるためです。ただし、住宅全体をRC造にするかどうかは、地盤、既存の擁壁、排水と防水、施工の条件、予算を調べて、土地ごとに判断します。

箕面の家は、段状に造成された土地(ひな壇造成地)での建替えです。この家では、1階の土に接する部分と、ピロティ(柱で上階を支える、開放的な空間)の部分に、RC造を使っています。1階の土に接する部分は、擁壁のように見えますが、建物の基礎です。住宅全体がコンクリートの家ではありませんが、高低差のある敷地で、土を留める部分をRC造とした例です。

土に直接接する壁や柱は、施行令第79条で、かぶり厚さが4cm以上と定められています(上の表)。土地選びの全体については、土地探しの記事をご覧ください。

設計者・施工会社に確認すること

  • コンクリートの外壁面を見せたいのか、見せなくてよいのか(見せたいなら内断熱を基本に検討)
  • 断熱の方式(内断熱・外断熱)、断熱材の種類と厚さ、防湿層の考え方
  • 結露の対策(換気、熱橋の処理)と、窓や日射対策との関係
  • 外壁の水切りの計画と、撥水剤の種類・塗り直しの目安
  • ひび割れは入るものとして、誘発目地の位置、補修の考え方、点検の窓口
  • 清掃・補修・再塗布の方法、足場の必要性、費用の考え方
  • 見積もりに含む範囲(外構、設計料、解体、地盤改良)と、税込・税別
  • 敷地の条件(高低差、擁壁、土に接する部分)

コンクリートの家で迷ったら

コンクリートの家は、断熱と汚れの対策を、設計の初めの段階で決めておくことが大切です。代表の吉野優輔は、日建設計在籍中にRC造の設計に携わった経験があります。YYAの住宅では、箕面の家の、土に接する部分(擁壁のように見える建物の基礎)とピロティに、RC造を使っています。

相談のときは、敷地の住所や面積、高低差の有無、予算の上限、コンクリートの外観を見せたい理由、家族構成を教えていただくと、話が進めやすくなります。

まとめ

  • コンクリートの家の住み心地は、断熱材の位置と性能に加え、窓、日射、換気・空調、施工の質で変わります
  • コンクリートの外観(外壁の打ち放し)を見せたいなら、YYAでは内断熱を基本に考えます
  • 汚れは、水切りと撥水剤で抑えます。対策をしても汚れは生じるため、清掃や再塗布が必要になることがあります
  • 工事費は、YYAでは坪200万円以上です(税込。外構、設計料、申請は別。2026年10月時点)
  • 土に接する高低差のある土地は、コンクリートの家に向いているとYYAでは考えますが、土地ごとに判断します

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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出典

  • 衆議院議員佐藤謙一郎君提出マンションの外断熱に関する質問に対する答弁書(答弁第42号、1999年9月7日)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/b145042.htm
  • 建築基準法施行令 第79条(鉄筋のかぶり厚さ)e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338 (2025年12月1日施行の版で確認)

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