西側外観

外構デザインは建物と一緒に考える|設計の進め方・予算・塀と擁壁の注意点を建築家が解説

外構デザインは、建物と一緒に設計することをYYAでは基本にしています。外構とは、門、塀、アプローチ、駐車場、庭、植栽など、建物の外まわりの設計です。YYAが外構を考え始めるのは、基本設計(建物の配置や間取りなど、大きな方針を決める段階)に入ってからで、緑がある風景とない風景では、建物の印象が大きく変わると考えています。

迷いやすいのは、予算です。YYAの設計料は、算定の対象となる工事費に外構工事を含みます。一方、植栽工事はオプションで、施主と造園業者の契約になり、設計料の算定対象には入りません。この記事では、外構を考える時期、予算の見方、塀と擁壁の法令の基本、植栽のメンテナンス、設計者に確認することを順に説明します。

芝生の前庭と植栽が建物を囲む、森の歯科の外観

外構デザインとは

外構は、建物の外側につくる部分の総称です。主なものは、次のとおりです。

  • 門、塀、フェンス
  • アプローチ(道路から玄関までの通り道)
  • 駐車場、駐輪場
  • 庭、テラス、ウッドデッキ
  • 植栽(樹木、草花、芝生)
  • 擁壁(高低差のある土を支える壁)

建物の内側の間取りと同じように、外構にも、どこから入り、どこに視線が通り、どこに緑を置くかという設計があります。

外構を、建物と一緒に考える理由

YYAでは、外構を考え始めるのは基本設計の段階です。建物の設計と並行して、外から見える景色と、窓から見える景色を合わせて考えます。

外構を設計するときに、YYAが基準にしているのは次の2つです。

  • 設計コンセプトに合致するか
  • 建築のデザインと一体になっているか

外構だけが目立つのではなく、建物のコンセプトを外まわりにも通すという考え方です。たとえば、道路から見たときの印象や、室内から庭を見たときの景色は、建物の設計と切り離せません。

緑があるかどうかで景色が変わる

植栽があるかどうかで、風景は大きく変わります。下の写真は、西神中央の家のLDKからテラスを見たものです。室内からの景色に、植栽が入っています。

LDKからテラスと植栽を見た、西神中央の家の室内

YYAが設計した西神中央の家は、築30年の戸建てのリノベーションです。外構の設計もYYAが行いました。

高低差のある土地では、建物と外構の関係を考える

箕面の家は、ひな壇造成地(段状に造成された土地)の建替えです。道路から見ると、1階の土に接する部分は擁壁のように見えますが、建物の基礎です。外構の設計はYYAが行いました。

道路側から見た箕面の家。外観の手前に植栽がある

コンクリートの家と高低差のある土地の考え方は、コンクリートの家で後悔しないためにで説明しています。

外構の予算の見方

外構の予算は、次の2つに分けて考えると整理しやすくなります。設計料の算定対象かどうかと、施主が支払う総額は、分けて整理してください。

設計料との関係

YYAの設計料は、工事費に対する割合で決まります。その算定の対象となる工事費(税込)には、外構工事も含みます。解体、地盤改良、施主が別に発注する工事も含み、家具は含みません。ただし、次の植栽工事は算定の対象に入りません。ウッドデッキなどは、設計料に含まれます。

設計料の計算の考え方は、注文住宅の設計料で説明しています。

植栽工事は別途

植栽工事は、設計料の算定対象には入りません。植栽工事は、施主と造園業者の契約になります。外構のなかで、オプションとして扱っています。

植栽は、費用をかけていただけるかどうかが、施主ごとに分かれます。そこで、YYAでは、提案する内容と、かかる費用を合わせて提示します。見積もりの比較は、何が含まれているかをそろえてから行うと、判断しやすくなります。

植栽は、近い造園業者に頼む

植栽を依頼する造園業者として、YYAがよくお願いするのは、池田市の緑向ガーデンです。ただし、植栽は植えて終わりではありません。メンテナンスを考えると、施主の家に近い造園業者にお願いすることが多いです。

和歌山県田辺市の森の歯科は、外構と造園の設計をスタジオテラが担当しました。YYAの事例として、外の庭が写る写真を冒頭に掲載しています。

植栽のメンテナンス

植栽の手入れは、種類や季節、敷地の条件で変わります。そのなかでYYAがお伝えしているのは、雑草は、放置すると一気に広がるため、毎日こまめに抜くほうが、きれいな状態を保てるということです。

森の歯科の院長は、一つの事例として、水やりと草むしりを、毎日の日課にしてくださっています。日々の小さな手入れが、庭をきれいに保つ助けになります。

植栽の手入れの負担は、土地の条件や植える量で変わります。設計の段階で、誰が、どのくらいの頻度で手入れをするかを話し合っておくと安心です。

塀と擁壁の基準

塀と擁壁には、建築基準法施行令に基準があります。以下は、国の基準の主な内容を要約したものです。この表だけで、設計・施工や既存の塀の安全性を判断することはできません。自治体の条例や指導がある場合は、そちらも確認が必要です。

補強コンクリートブロック造の塀

建築基準法施行令の第62条の8が、補強コンクリートブロック造の塀の基準です。主な内容は、次のとおりです。

項目基準
高さ2.2m以下
壁の厚さ15cm以上(高さ2m以下は10cm以上)
鉄筋径9mm以上の鉄筋を、壁頂、基礎、壁の端部、隅角部に配置。壁内にも縦横80cm以下の間隔で配置
控壁(塀を支えるために、壁面から突き出して設ける壁)長さ3.4m以下ごとに設ける(高さ1.2m以下の塀は除く)
基礎(丈=基礎の高さ、根入れ=地中に埋まる深さ)丈35cm以上、根入れの深さ30cm以上(高さ1.2m以下の塀は除く)

国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で、構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、この表によらないことができます。この場合の条件は、設計者に確認してください。

擁壁

擁壁については、同じ施行令の第142条が、構造の基準を定めています。主な内容は、次のとおりです。

  • 鉄筋コンクリート造、石造など、腐食しない材料を使う
  • 裏面の排水をよくするため、水抜穴を設け、周辺に砂利などを詰める
  • 国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で、安全性を確かめる

どの擁壁がこの基準の対象になるかは、規模や条件で変わります。敷地に擁壁がある場合は、適用される法令と、擁壁の構造や劣化の状態を、設計者や施工会社に確認してください。擁壁の図面や工事の記録があれば、相談のときに用意しておくと話が進みます。擁壁の確認は、土地探しは設計事務所に相談するべき?でも説明しています。

塀・門は、建築と一体で考える

塀や門を考えるときに、YYAが基準にしているのは、建築のデザインと一体になっているかです。法令の基準を満たすだけでなく、建物の外観や素材と合っているかを確認します。

設計者・施工会社に確認すること

外構の計画では、次の点を、設計者や施工会社に確認してください。

  • 外構を、設計のどの時期に、誰が設計するのか
  • 見積もりに含まれる範囲(外構、植栽、ウッドデッキなど)
  • 植栽工事は、誰との契約になるのか
  • 設計コンセプトと、外構の計画が合っているか
  • 塀や門が、建物の外観と一体になっているか
  • 敷地に擁壁がある場合の構造と、確認の方法
  • ブロック塀の高さ、厚さ、鉄筋、控壁、基礎
  • 植栽の手入れを、誰が、どのくらいの頻度で行うか

外構で迷ったら

外構は、建物と一緒に考えるほど、全体のまとまりが出てきます。YYAでは、基本設計の段階で外構を考え、植栽は提案内容と費用を並べて、ご相談しながら決めています。

相談のときは、敷地の住所や面積、道路との高低差、駐車の台数、予算の上限、植栽にかけたい費用の目安を教えていただくと、話が進めやすくなります。

まとめ

  • YYAでは、外構を建物と一緒に、基本設計の段階から考えます
  • 外構の判断基準は、設計コンセプトに合致するか、建築のデザインと一体になっているかです
  • 設計料の算定対象に外構工事を含みます。植栽工事は別途で、施主と造園業者の契約です
  • 塀と擁壁には、建築基準法施行令に基準があります。敷地ごとに確認が必要です
  • 植栽は、雑草を毎日こまめに抜くと、きれいな状態を保てます

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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出典

  • 建築基準法施行令 第62条の8(補強コンクリートブロック造の塀)、第142条(擁壁)e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338 (2025年12月1日施行の版で確認)

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