和室の天井には、竿縁天井(さおぶちてんじょう)、格天井(ごうてんじょう)、網代天井(あじろてんじょう)、船底天井(ふなぞこてんじょう)など、いくつかの種類があります。どれを選ぶかで、和室の格式や落ち着き、広がりの感じ方が変わります。
住宅の和室で多く使われてきたのは、細い竿縁で板を押さえる竿縁天井です。格式を出したい座敷には格天井、茶室や数寄屋風の部屋には網代天井や掛込天井、天井を高く見せたい部屋には船底天井が選ばれます。いまの家では、和室をどう使うかと、リビングとのつながり方から決めるのがおすすめです。

和室の天井の種類と違い
| 種類 | どんな天井か | 印象 | 向く部屋の例 |
|---|---|---|---|
| 竿縁天井 | 細い棒(竿縁)を一定の間隔で並べ、その上に薄い板を直角に張った天井。竿縁の間隔は30〜40cm程度が多い | すっきり、落ち着いた | 住宅の和室全般 |
| 格天井 | 角材(格縁)を格子に組み、そのます目に板をはめた天井 | 重厚、格式が高い | 客間・座敷 |
| 折上格天井 | 格天井の周りを曲線の部材で持ち上げ、中央を一段高くした天井 | さらに格式が高い | 寺社・書院の格の高い部屋 |
| 網代天井 | 竹の皮や杉・檜の薄い板などを編んだ網代を張った天井 | 素朴、やわらか | 茶室・数寄屋風の部屋 |
| 船底天井 | 船の底を逆さにしたように、中央が高く両側が下がる天井(屋形天井とも) | 高く、広がりがある | 天井を高く見せたい和室 |
| 掛込天井 | 屋根の裏側の傾きをそのまま見せた、斜めの天井 | 軽やか、茶室らしい | 茶室・はなれ |
竿縁天井:住宅の和室でよく使われる天井
竿縁天井は、細い竿縁を一方向に並べ、その上に薄い天井板を張る天井です。古くは寺の僧坊(僧の住まい)に使われ、住宅にも広く使われてきました。
竿縁は細く、天井全体がすっきり見えるので、和室を落ち着いた印象にしたいときに向きます。床の間のある和室については床の間の記事で説明しています。
格天井:格式を出したい部屋に
格天井は、角材を格子に組み、そのます目に板をはめた天井です。ます目は1m角程度までの比較的大きなものが多く、格縁の太さは6〜7cm程度とされています。部屋に重厚さが出るので、客間や座敷に向きます。一方で、天井が重く見えやすいので、天井の低い部屋や小さな部屋では圧迫感が出ないか確かめます。

網代天井・掛込天井:茶室や数寄屋風の部屋に
網代は、竹の皮や杉・檜などを薄く削った材を、斜めや縦横に編んだものです。茶室の天井や戸、壁にも使われます。掛込天井は、茶室で、客が座る場所の上に屋根の裏側の傾きを見せた天井です。
1つの部屋の中で、平らな天井と網代天井、掛込天井を組み合わせることもあります。天井の高さや素材を変えると、同じ部屋の中でも場所ごとに落ち着きが変わります。
船底天井:天井を高く見せたい部屋に
船底天井は、中央が高く、両側に向かって下がる天井です。天井板は棟と平行に張られます。平らな天井より中央が高くなるので、部屋が広く感じられます。屋根の形とあわせて計画するので、新築や、屋根の下の空間に余裕がある改修で使いやすい天井です。
天井を斜めにする考え方は、洋室の勾配天井と共通します。吹き抜けと勾配天井の記事もあわせてご覧ください。
天井の高さの考え方
居室の天井の高さは2.1m以上と決められていて、一つの部屋の中で天井の高さが違う場合はその平均の高さで判断します(建築基準法施行令 第21条)。船底天井や掛込天井のように高さが変わる天井でも、部屋全体の平均で考えます。
和室は畳に座って過ごすことが多いので、洋室と同じ天井の高さでも、高く感じやすくなります。和室をリビングとつなげる場合は、天井の高さや仕上げをリビングとそろえるか、あえて変えて和室らしさを出すかを決めます。
いまの家の和室での選び方
| 和室の使い方 | 合う天井の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 客間・仏間として格式を出したい | 竿縁天井・格天井 | 落ち着きと格式が出る |
| リビングとつなげて使う | 下がり天井(和室の部分だけ天井を下げる) | 床だけでなく天井の高さでも和室の範囲が分かり、落ち着いた場所になる |
| 茶室・趣味の部屋 | 網代天井・掛込天井 | 素材の表情と天井の高低で、空間に変化が出る |
| 天井を高く見せたい | 船底天井 | 中央が高く、広がりが出る |
YYAでは、リビングとつなげる和室の天井は、下がり天井にすることが多くなっています。天井を部分的に下げる方法は下がり天井の記事で説明しています。和室の建具まわりについては鴨居・長押・敷居の記事、和風建築の全体については和風建築の記事で説明しています。
シミ・たわみが出たときのリフォーム
| 症状 | 考えられる原因 | 確かめること |
|---|---|---|
| 天井板にシミ | 雨漏り、上の階の水まわりの漏水、結露 | まず原因を調べて止める。天井だけ張り替えても再発する |
| 天井板のたわみ・すき間 | 板の乾燥や湿気による変形、竿縁の固定のゆるみ | 板と竿縁の状態。部分的に直せるか |
| 天井が暗く見える | 板の日焼けや汚れ | 張り替え、塗装、クロスなどの仕上げの選び方 |
天井板を張り替えるときは、同じ種類の天井にするか、別の仕上げに変えるかを選べます。和室を洋室に変える場合は、天井と一緒に、床・壁・建具も見直すと部屋全体がまとまります。
ご相談の前に
和室の天井は、部屋の使い方と、建物の構造(上が2階か屋根か)で、選べる種類が変わります。ご相談の際は、和室の使い方、今の天井の写真(シミやたわみがあればその場所)、上の階や屋根の状況、和室をリビングとつなげたいかどうかを教えてください。
まとめ
和室の天井には、竿縁天井・格天井・折上格天井・網代天井・船底天井・掛込天井などの種類があります。住宅の和室では竿縁天井が多く、格式を出すなら格天井、茶室風なら網代天井や掛込天井、高く見せたいなら船底天井が向きます。天井の高さは部屋全体の平均で2.1m以上が必要です。いまの家では、和室の使い方とリビングとのつながりから選びましょう。
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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