三和土は「たたき」と読み、もとは、土に石灰などを混ぜて叩き固めた土間の床仕上げのことです(水やにがりで練る、と説明されることもあります)。いまの住宅では、玄関の靴を脱ぐ場所や、コンクリートなどで固めた土間を「たたき」と呼ぶこともあり、言葉が指す範囲は、場面によって変わります。
住宅で玄関の土間を決めるときは、言葉の意味よりも、何で仕上げるかが大切です。YYAでは、玄関の土間に磁器質タイルを使うことが多く、掃除のしやすさ、滑りやすさ、予算を見て選んでいます。一方で、京町家のような和風建築にする場合は、本来の三和土が、よく調和する仕上げの候補になります。この記事では、言葉の意味、本来の三和土と現代のたたきの違い、仕上げの選び方、確認することを順に説明します。
三和土とは|読み方と意味
三和土は、「たたき」と読みます。国語辞典には「さんわど」という読みも載っていますが、これは、「たたき」に当てた字を、音で読んだものとして説明されています(精選版 日本国語大辞典)。
辞典では、意味が少しずつ違います。
| 辞典 | 意味の説明 |
|---|---|
| 改訂新版 世界大百科事典 | 風化した花崗岩や安山岩などの土に、消石灰と水を加えて練り、硬化させた床仕上げ。木片でたたき締めたことが名の由来とされる |
| 家とインテリアの用語がわかる辞典 | 玄関・台所・風呂場などで、コンクリートなどで固めた土間。古くは、赤土や砂利に石灰とにがりを加えた叩き土を使った |
| ブリタニカ国際大百科事典 | 土またはコンクリートで仕上げた土間の床。本来は、叩き土に石灰を混ぜ、水やにがりで練って塗り、叩き固めたもの |
辞典によって、水を加える、にがりを加える、と説明が分かれており、これは辞典に記載された説明で、個別の工事の仕様を示すものではありません。「三和土」の字は、3つの材料を混ぜることから当てられたとされ、叩いて固めることが名の由来、という説明もあります。つまり、材料と作り方に由来する言葉が、いまは床の仕上げや、土間そのものを指すように広がっています。
本来の三和土と、いまの「たたき」
本来の三和土は、江戸時代に、住宅の土間や軒下の舗装として一般化したとされています(世界大百科事典)。その後、モルタルの普及とともに、使われなくなったと説明されています。一方で、モルタルを金ゴテで仕上げた床を「叩き」と呼ぶこともある、とも書かれています。

| 本来の三和土 | いまの「たたき」 | |
|---|---|---|
| 材料 | 土に石灰などを混ぜたもの(水やにがりで練る) | コンクリート、モルタル、タイルなど |
| 作り方 | 練った材料を、叩いて固める | コンクリートなどで下地をつくり、表面を直接仕上げる、またはモルタルやタイルなどで仕上げる。構成は仕様によって異なる |
| 指すもの | 土間の床仕上げ、またはその工法 | 玄関の靴脱ぎ場、固めた土間 |
打ち合わせで「たたき」と言われたときは、本来の三和土のことか、玄関の土間のことかを、確かめてください。
土間・玄関との違い
「土間」は、板などの床を張らず、土やコンクリート、タイルなどで仕上げる場所です。この記事では、主に玄関の靴脱ぎ場を扱います。「たたき」は、その土間の床の仕上げ、またはその場所を指す言葉として使われます。玄関の靴を脱ぐ場所から、上がり框(かまち。土間と一段高い床の境にある横材)を越えて、床の上に上がります。
土間の計画全体(広さ、断熱、使い方)は、土間のある家の記事で説明しています。玄関の段差は、上がり框の記事をご覧ください。
玄関土間(たたき)の仕上げの選び方
住宅の玄関土間は、次のような仕上げから選びます。
| 仕上げ | 見え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 磁器質タイル | 色や大きさの種類が多い。目地が入る | 玄関の床に使えるか、表面の仕様、濡れたときの滑りやすさ、目地の割付 |
| レンガタイル | 素朴で、温かみのある表情 | 濡れたときの滑りやすさ、表面の凹凸と掃除のしやすさ |
| コンクリートの金ゴテ仕上げ | 継ぎ目の少ない、なめらかな面 | 濡れたときの滑りやすさ、ひび割れが入ること、汚れの目立ち方 |
| モルタル | 素朴で、落ち着いた面 | 濡れたときの滑りやすさ、ひび割れが入ること、手入れ(モルタルの記事) |
| 本来の三和土 | 土の素朴な風合い | 濡れたときの滑りやすさ、掃除(水拭き・水洗いの可否)、補修の方法、施工できる職人、使える場所(次の節) |
用語: 磁器質タイルは、タイルの材質の分類名です。個別の製品の性能は、確認が必要です。目地はタイル同士の継ぎ目、割付はタイルと目地の配置を決めることです。金ゴテ仕上げは、金属製のコテで表面をならす仕上げです。
YYAでは、磁器質タイルが多い
YYAでは、玄関土間に磁器質タイルを使うことが多くあります。選ぶときに見ているのは、掃除のしやすさ、滑りやすさ、予算です。仕上げを比べるときは、同じ施工面積で、材料費・下地工事・施工費・端部の処理など、見積もりに含む範囲をそろえて比較します。玄関は、雨に濡れた靴で上がり、泥や砂が入る場所です。掃除をしやすく、濡れても滑りにくい仕上げが、暮らしやすさに直結します。
ほかに、場所と使い方に合わせて、コンクリートの金ゴテ仕上げ、レンガタイルなどを選ぶこともあります。
和風建築なら、本来の三和土が合う
京町家など、和風建築にする場合は、本来の三和土が合う、とYYAでは考えています。土の素朴な風合いは、木や土壁、格子といった素材と調和します。採用は、使う場所、手入れ、施工体制を確認して判断します。和風の考え方は、和風建築の記事も参考にしてください。
ただし、矢野耕也氏らの2011年の研究(品質工学)では、口伝や徒弟制度で受け継がれてきた伝統技術が、新しい材料や工法の簡略化で使われなくなりつつあり、三和土もその一つとして取り上げられています。採用するときは、施工できる職人を探すことから始まります。使える場所、雨のかかり方、水を使う場所に向くか、日常の掃除(水拭き・水洗いの可否)、汚れや欠けが出たときの補修の方法は、採用する仕様に即して、職人や施工会社に確認してください。
設計者・施工会社に確認すること
- 「たたき」が、本来の三和土か、玄関の土間(コンクリート・タイルなど)か
- 仕上げの種類(磁器質タイル、レンガタイル、金ゴテ、モルタル、本来の三和土)
- どの仕上げでも、濡れたときの滑りやすさ
- タイルの場合は、磁器質かどうかに加え、玄関の床に使えるか、表面の仕様、目地の割付
- 掃除のしやすさと、汚れの目立ち方
- ひび割れが入る仕上げのときは、入ったあとの補修の考え方
- 本来の三和土の場合は、施工できる職人、使える場所、日常の掃除と補修の方法
- 予算(見積もりに含む範囲を、そろえて比べる)
玄関土間の仕上げで迷ったら
玄関の土間は、毎日使う場所です。見た目だけでなく、掃除、滑りやすさ、予算を並べて決めると、後悔が減ります。YYAでは、敷地や暮らし方、好みをうかがいながら、仕上げの候補を整理します。
相談のときは、敷地の住所、玄関の使い方(靴の数、自転車、ベビーカーなど)、好きな仕上げの写真、予算の考え方を教えていただくと、話が進めやすくなります。
まとめ
- 三和土は「たたき」と読み、もとは、土に石灰などを混ぜて叩き固めた土間の床仕上げです
- いまは、玄関の靴脱ぎ場や、コンクリートなどで固めた土間を指すこともあります
- YYAでは、玄関土間に磁器質タイルを使うことが多く、掃除、滑りやすさ、予算を見て選びます
- 京町家など和風建築では、本来の三和土が、調和する仕上げの候補です。施工できる職人を探すことから始まります
この記事の監修
吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。
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出典
- 精選版 日本国語大辞典、改訂新版 世界大百科事典、家とインテリアの用語がわかる辞典、ブリタニカ国際大百科事典(コトバンク「三和土」)https://kotobank.jp/word/三和土-93390
- 矢野耕也・矢野俊也「三和土の配合に関する研究 -伝承技術に対する現代的検討-」品質工学 19巻2号(2011年)https://www.jstage.jst.go.jp/article/qes/19/2/19_60/_article/-char/ja/
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