西神中央の家

梁を見せる天井で後悔しないために|見せる梁と隠す梁の判断を建築家が解説

梁を見せるかどうかは、その空間のコンセプトがどのようなものかで決まります。見た目の好みだけでなく、「構造をあらわにした空間にしたいのか」「静かな面の天井にしたいのか」を先に決めると、迷いにくくなります。

梁を見せると決めたら、あとで後悔しないために、次の3つを設計の段階で決めておきます。

  1. 材料と節:どの木を使い、節のあるものにするか、ないものにするか
  2. 照明:天井に埋め込む照明が付けにくいため、どこから照らすか
  3. 手入れ:高い位置のほこりを、どう掃除するか

この記事では、YYAが構造材をあえて見せた実例(西神中央の家・箕面の家)とあわせて、見せる梁の考え方を整理します。

梁を見せる天井とは

梁を見せる天井は、「あらわし」や「現し梁」とも呼ばれます。天井板を張って梁を隠さず、梁を仕上げとして見せる設計です。大きく2つの考え方があります。

  • 構造材をそのまま見せる:家を支えている本物の梁や柱を、仕上げとして見せる
  • 見せるための梁を足す(化粧梁):構造とは別に、意匠として梁を付け足す

どちらを選ぶかで、材料の選び方や費用、見せ方が変わります。YYAでは、構造材をあえて見せることを大切にしています。

見せ方にも、天井を張らずに屋根の裏側まで見せる方法と、天井は張ったまま、梁や柱だけを天井の下に見せる方法があります。西神中央の家は、天井の面があり、その下に梁が見える形です。

見せる天井と、隠す天井の比べ方

見せるか隠すかは、次の項目で比べると整理しやすくなります。

項目梁を見せる天井を張って隠す
見え方構造や木の表情が見え、奥行きが出る面がそろい、すっきり見える
照明天井を張らずに見せる場合は、埋め込みのダウンライトが付けにくい。梁や壁から照らす方法を考える埋め込み照明を使いやすい
掃除梁の上面や側面にほこりがたまりやすく、高い位置の掃除が必要天井面は掃除がしやすい
木の割れ木は乾燥して縮むときに、表面に割れが入ることがある木が見えないため気になりにくい
材料の選び方節の有無、色、樹種を、周りの素材とのバランスで決める梁の見え方は考えなくてよい

木の割れ

木は、含水率(含まれている水分の量)が下がると縮みます。三重県の林業研究所の資料によると、収縮は含水率が約30%を下回ってから始まり、心持ちの角材では、表面が先に乾くため、表面に割れが入ることがあるとされています(三重県 林業研究所)。また、同資料は、高気密・高断熱の住宅では、木材が落ち着く含水率(平衡含水率)がさらに低くなるとしています。

梁や柱を見せる場合、こうした割れは、構造上の問題になるとは限りませんが、見た目の変化として出ることがあります。木の表情として受け入れられるかを、設計の段階で話し合っておくことが大切です。

照明

天井を張らずに梁を見せる場合は、天井裏がないため、天井に埋め込む照明を使いにくくなります。そのため、梁や壁にスポットライトを付ける、壁際に間接照明を仕込む、といった方法で光をつくります。下の写真では、天井の梁に付けたスポットライトで、天井の木を照らしています。

YYAの考え方:構造材をあえて見せる

YYAでは、梁を見せるかどうかを、空間のコンセプトで決めます。「構造をそのまま見せたい」のか、「面のそろった静かな空間にしたい」のかで、答えが変わるからです。見せない選択をすることも、もちろんあります。見せないときは、天井を張る、梁の下に天井を下げる(下がり天井の記事)といった方法があります。

見せると決めた場合は、材料を一つずつ繊細に決めていきます。たとえば、次のようなことです。

  • 節のある木を使うか、節のない木を使うか
  • 周りの素材(壁、床、天井の仕上げ)とのバランスはどうか

節のある木は、表情が強く出て、素朴で力強い印象になります。節のない木は、すっきりと整った印象になります。どちらがよいかは、周りの素材と並べたときの見え方で決めます。

実例:西神中央の家(神戸市西区)

西神中央の家は、築30年の木造枠組壁工法(ツーバイフォー)の住宅のリノベーションです。小部屋の多い間取りを大きなワンルームにするために、壁を抜けるように、新しい柱と梁を加えました。この柱と梁は、耐震補強としての役割もあります(構造設計 エムツー設計)。

加えた梁と柱は、隠さずに、構造材をあえて見せています。梁には杉、柱には桧の105角を使いました。梁には、抽象的な空間に具体を見せるために、節のある木を選んでいます。写真では、節の見える梁と、節が目立たない柱が、天井の面とともに見えます。構造を見せることで、新しく加えた部分が、空間の主役になっています。

詳しくは、築30年のツーバイフォーのリノベの記事をご覧ください。

実例:箕面の家(大阪府箕面市)

箕面の家は、ひな壇に造成された住宅地での建て替えです。2階のLDKでは、屋根の構造材(梁や垂木)を見せた勾配のある天井としています。壁や床の濃い色と、木の天井の対比が、空間の特徴になっています。

勾配天井や吹き抜けの違いは、吹き抜けと勾配天井の記事で説明しています。天井の高さの決め方は、天井高の記事をご覧ください。

梁を見せるか、迷ったときの判断

迷ったときは、次の順番で確かめます。

  1. 空間のコンセプト:構造を見せたいのか、面のそろった空間にしたいのか
  2. 材料:どの木を使い、節をどうするか。周りの素材とのバランスはどうか
  3. 照明:天井に埋め込めない分、どこから照らすか
  4. 手入れ:高い位置の掃除を、誰が、どのくらいの頻度でするか
  5. 木の変化:割れなど、木の表情の変化を受け入れられるか

準防火地域などの地域の制限や、断熱・気密の納まりは、構造や工法、地域によって条件が変わります。設計者に、お住まいの地域と構造で確認してください。

設計者に相談する前に用意するとよいもの

  • 建てる地域(防火地域・準防火地域の指定の有無)
  • 構造と工法(木造・枠組壁工法など)
  • LDKなどの天井の高さの希望
  • 好みの木の印象(節のある木、節のない木、色の濃さ)
  • おおよその予算

これらがあれば、相談の段階で、梁を見せる場合と隠す場合の見え方や、照明の考え方を整理できます。

まとめ

梁を見せるかどうかは、空間のコンセプトで決まります。見せると決めたら、材料と節、照明、手入れ、木の変化の4つを、設計の段階で決めておくと、後悔しにくくなります。YYAでは、構造材をあえて見せることを大切にし、材料は周りの素材とのバランスの中で、一つずつ決めています。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)

2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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