FIX窓とは?メリット・デメリット、採光と換気のルール、安全ガラス、防犯と掃除の注意点|建築家が解説

FIX窓(フィックスまど)は、開け閉めできない、固定された窓です。「はめ殺し窓」とも呼ばれます。開閉のための可動部分がないため、フレームを細くでき、景色や光を広く取り込めます。

その一方で、換気には使えません。また、ガラスが大きいほど、安全、防犯、掃除の注意点が増えます。この記事では、FIX窓の特徴と、建築基準法などのルール、設計で気をつけることを説明します。

室内から見た、大きなFIX窓と、開く窓・地窓・高窓の組み合わせを示した図

FIX窓の使いどころ

FIX窓は、次のような場所で使われます。

使い方特徴
大きな眺めを取り込む窓庭や景色を、フレームを目立たせずに見せる
高い位置の窓(高窓)壁の上部から、光だけを入れる。高窓の記事で説明
低い位置の窓(地窓)足元の光や、庭の見え方をつくる
階段室や吹き抜けの窓手が届かない位置に、光を入れる
開けられる窓との組み合わせ大きなFIX窓の横や下に、小さな開く窓を足して、換気を確保する

メリットとデメリット

内容
メリットフレームが細く、眺めがすっきり見える
メリット開閉部分がなく、すき間が少ない(気密を取りやすい)
メリット同じ大きさの窓でも、開く窓より、ガラス面を広く取れる
デメリット換気ができない(換気や排煙の面積に数えられない)
デメリット外側の汚れを、室内から拭けない場合がある
デメリットガラスが割れたとき、交換にガラスごと入れ替える手間がかかる
デメリット大きなガラスは、重く、運搬や取り付けに手間がかかる

建築基準法のルール

採光:FIX窓でも数えられる

住宅の居室には、採光のための窓が必要です。有効な窓の面積は、居室の床面積の7分の1以上です(建築基準法 第28条第1項、施行令 第19条第3項)。

採光は、光を通すことが目的なので、開かないFIX窓も、採光の面積に数えられます。有効な面積は、窓の面積に、隣の建物との距離などで決まる補正係数をかけて計算します。

換気:FIX窓は数えられない

居室には、換気のための窓が必要です。有効な面積は、居室の床面積の20分の1以上です(建築基準法 第28条第2項)。換気のための開口部は、開けられることが前提のため、開かないFIX窓は、この面積に数えません。

FIX窓を大きく取るときは、開けられる窓や、換気設備で、換気を確保します。

排煙:開放できる部分が基準

窓の面積は、排煙の面でも、基準があります。施行令第116条の2は、窓などの開口部を有しない居室(いわゆる「無窓居室」)を、次のいずれかに当たるものとしています(施行令 第116条の2)。

  • 採光に有効な部分の面積が、居室の床面積の20分の1未満
  • 開放できる部分の面積が、居室の床面積の50分の1未満

排煙の面積は、開放できる部分で数えるため、FIX窓は数えられません。

防火:防火地域・準防火地域では防火設備に

防火地域・準防火地域にある建築物は、外壁の開口部のうち、延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の防火設備を設ける必要があります(建築基準法 第61条)。FIX窓も、この部分では、防火設備として認められた窓にします。

防火地域・準防火地域の考え方は、防火地域・準防火地域の記事で説明しています。

安全ガラス:床に近い大きなガラスは、特に注意

大きなガラスは、人がぶつかったときの事故が心配です。建設省(現・国土交通省)の通達「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」は、人体衝突が起こりやすく、安全設計の必要度が高いガラスを、次のように示しています(ガラスを用いた開口部の安全設計指針)。

  • 短辺が45cm以上のガラスで、
  • 出入口のドアやサッシで、床面から60cm未満に下辺があるもの
  • 出入口に隣接する部分で、住宅などの居住専用の部分は30cm未満の範囲、かつ床面から60cm未満の高さにあるもの
  • それ以外で、住宅などの居住専用の部分は床面から30cm未満に下辺があるもの

この指針は、法律ではなく、設計の指針です。FIX窓を、床の近くまで下げるときは、安全ガラス(合わせガラス、強化ガラス)を選ぶ、ガラス面の近くに近づけないようにするなどの対策を、設計者と相談します。

指針は、安全ガラスとして、合わせガラス(JIS R 3205)と強化ガラス(JIS R 3206)を挙げています。ガラス面から60cm程度の範囲に人が入り込まないように、手すりや柵を設ける方法も示されています。ガラスにシールなどで気づかせる方法は、単独では、安全の確保にならないとされています。

防犯

窓は、侵入の経路の1つです。警察庁の「住まいる防犯110番」では、防犯性能の高い建物部品として、防犯合わせガラスや、防犯フィルムの採用を勧めています(警察庁 住まいる防犯110番)。

FIX窓は、鍵がなく、開けて侵入されることはありません。ただし、ガラスを割られて入られることは、開く窓と同じです。人目につきにくい場所の大きなFIX窓は、防犯合わせガラスにするなどを検討します。

断熱と結露

窓は、家の中で、熱が出入りしやすい部分です。断熱の性能は、窓枠(サッシ)の材質と、ガラスの種類の組み合わせで決まり、FIX窓か、開く窓かだけでは決まりません。

窓の熱の性能(熱貫流率)は、製品のカタログで確認できます。住宅の断熱の等級と、UA値の基準は、高断熱・高気密の記事で説明しています。大きな窓と、断熱の両立の考え方は、大きい窓の家は寒いのかを解説した記事をご覧ください。

掃除とメンテナンス

FIX窓は、窓を開けて、外側を拭くことができません。外側の汚れを、どう掃除するかを、設計の段階で考えておきます。

  • 手が届く高さに設ける(1階、バルコニーの手すりの近くなど)
  • 足場やバルコニーから、外側を拭ける位置にする
  • 汚れにくい向きや、庇のある位置にする
  • 手が届かない高さは、専門の業者に頼むことを前提にする

設計の考え方:開けられる窓と組み合わせる

FIX窓は、「眺める窓」として使い、換気や通風は、別の窓で確保する考え方がよく使われます。たとえば、大きなFIX窓の隣に、縦長の開く窓を置いたり、FIX窓の下に、小さな地窓を置いたりします。

国土交通省の設計ガイドは、地窓と高窓を組み合わせて、上下の温度差を利用した通風・換気ができる窓を計画することを挙げています(設計ガイド)。FIX窓の高窓と、開く地窓を組み合わせる設計は、この考え方に沿います。

YYAが設計した箕面の家では、2階の南側に、木製の片引きサッシを設け、全開放できるようにしています。眺めのよい面を、固定せずに、開放するという選び方です。FIX窓と開く窓は、景色、通風、掃除、予算から、場所ごとに選びます。

ご相談の前に

窓は、眺め、光、通風、プライバシーに関わります。ご相談の際は、次の内容を教えてください。

  • 土地の場所と、向き(周りの建物、眺め)
  • 窓から見たいもの(庭、景色、空など)
  • 気になること(暑さ、寒さ、視線、防犯)
  • 窓の掃除をどうしたいか
  • 防火地域・準防火地域かどうか(分かれば)

まとめ

FIX窓は、開閉しない固定の窓で、フレームが細く、眺めと光を広く取れます。採光の面積には数えられますが、換気(床面積の20分の1以上)と排煙(開放できる部分が50分の1以上)の面積には数えられません。防火地域・準防火地域では、延焼のおそれのある部分に防火設備が必要です。床から30cm未満に下辺があるような大きなガラスは、安全ガラスを選びます。大きなFIX窓は、開けられる窓と組み合わせて、換気と掃除を計画しましょう。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。2009年~2021年株式会社日建設計。2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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