用途変更の確認申請が必要になる条件|200㎡の基準・類似用途・検査済証がない場合|建築家が解説

建物の用途を変えるとき(住宅を店舗に、事務所を飲食店に、など)、確認申請が必要になるのは、次の3つにすべて当てはまる場合です。

  1. 変更後の用途が、建築基準法の「特殊建築物」(飲食店、物販店舗、ホテル、有床の診療所など)である
  2. その用途に使う部分の床面積の合計が200㎡を超える
  3. 政令で定める「類似の用途」どうしの変更ではない

どれかに当てはまらなければ、確認申請は不要です。ただし、確認申請が不要でも、建築基準法や消防法などに建物を適合させる義務は残ります。また、用途地域の制限は面積にかかわらず守る必要があります。

この記事では、用途ごとの例、確認申請が不要な場合に気をつけること、手続きの流れ、検査済証がない建物の場合を整理します。

用途変更を考える建物

確認申請が必要になる3つの条件

建築基準法第87条は、建物の用途を変えて特殊建築物とする場合に、新しく建てるときの確認の規定を準用すると定めています(類似の用途どうしの変更は除く)。確認が必要な規模は、第6条第1項第1号で「特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるもの」とされています(建築基準法)。

この200㎡の基準は、2019年6月25日に施行された改正で、それまでの100㎡から引き上げられました(国土交通省)。

特殊建築物とは

建築基準法の別表第一に挙げられた用途です。主なものは次のとおりです。

  • 劇場、映画館、集会場
  • 病院、有床の診療所、ホテル、旅館、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
  • 学校、体育館、博物館、図書館
  • 百貨店、物販店舗、飲食店、展示場、遊技場
  • 倉庫、自動車車庫

一戸建ての住宅、事務所、入院の施設がない診療所は特殊建築物に当たりません。そのため、これらに用途を変える場合は、面積にかかわらず用途変更の確認申請はいりません(国土交通省の通知)。

用途ごとの例

変更の例変更後は特殊建築物か確認申請
住宅 → 飲食店(150㎡)はい不要(200㎡以下)
事務所 → 飲食店(250㎡)はい必要
事務所 → 物販店舗(250㎡)はい必要
物販店舗 → 別の物販店舗はい不要(同じ用途)
ホテル → 旅館(250㎡)はい不要(類似用途。下記)
事務所 → 無床の診療所いいえ不要
住宅 → 事務所いいえ不要

面積は、建物全体ではなくその用途に使う部分の床面積の合計で判断します。同じ建物の中で、同じ用途に使う部分を合わせて200㎡を超えるかを確かめます。

類似の用途どうしなら不要

建築基準法施行令第137条の18は、確認がいらない「類似の用途」を定めています(建築基準法施行令)。たとえば次のような組み合わせです。

  • 劇場、映画館、演芸場
  • ホテル、旅館
  • 博物館、美術館、図書館
  • 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
  • キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー

ただし、用途地域によっては類似用途として扱われない組み合わせがあります(たとえば、第一種・第二種低層住居専用地域などでの一部の用途)。物件の用途地域と合わせて確かめます。

確認申請が不要でも守ること

確認申請が不要な規模でも、建築基準法や消防法に適合させる義務は変わりません(国土交通省)。用途が変わると、求められる基準も変わります。

  • 用途地域:その場所で、その用途の建物が認められているか(建築基準法第48条。用途変更でも準用されます)
  • 避難と防火:廊下や階段、排煙、内装の燃えにくさ(内装制限)など、用途によって基準が変わる
  • 採光・換気:居室の窓の大きさ、火を使う部屋の換気
  • 消防:消防用設備(自動火災報知設備、誘導灯など)。所轄の消防署に確認する
  • その他の法令:飲食店なら保健所の営業許可、宿泊施設なら旅館業法など、業種ごとの手続き

確認申請がないと、計画を第三者が確かめる機会がありません。そのため、設計者が図面と現地で法令への適合を確かめることが大切です。

手続きの流れ(確認申請が必要な場合)

  1. 事前の調査:既存の建物の図面、確認済証・検査済証の有無、用途地域を確かめる
  2. 設計:変更後の用途で必要な基準に合わせて、間取り・内装・設備を計画する
  3. 確認申請:建築主事または指定確認検査機関に申請し、確認済証を受ける
  4. 工事
  5. 工事完了の届出:新築のような完了検査の申請ではなく、工事が終わったことを届け出ます(建築基準法第87条第1項の読み替え)

消防の手続きや、業種ごとの許可(保健所など)も並行して進めます。期間と費用は、建物の状態と変更の内容で大きく変わるため、図面と現地を見てから見積もります。

検査済証がない建物の場合

古い建物では、建てたときの完了検査を受けておらず、検査済証がないことがあります。この場合、確認申請の前に、今の建物が法令に適合しているか(または建てた当時の基準に適合していた既存不適格か)を調べる必要があります。

国土交通省は「既存建築物の現況調査ガイドライン」で、検査済証の交付状況の調査と現地調査の進め方を示しています(国土交通省:既存建築物の活用の促進について)。図面が残っていない場合は、現地で建物を測って図面を起こすところから始めます。

YYAでも、検査済証がない建物についてのご相談をお受けしています。

ご相談のときに用意していただきたいもの

  • 確認済証、検査済証(あれば)
  • 図面(平面図・立面図・断面図など)
  • 構造計算書(あれば)
  • 登記事項証明書
  • 変更後の用途と、使う予定の面積

書類がそろっていなくても、わかる範囲でお持ちください。物件の契約前であれば、契約前に用途変更の可否を確かめておくと安心です。

まとめ

用途変更で確認申請が必要になるのは、変更後が特殊建築物で、その部分が200㎡を超え、類似用途どうしの変更でない場合です。不要な場合でも、用途地域、避難・防火、消防などの基準に合わせる義務は残ります。検査済証がない建物は、まず今の建物の状態を調べるところから始まります。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。片岡重男建築研究所、株式会社日建設計を経て、2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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