地窓とは?後悔しない場所と使い方、防犯・目隠し・採光の考え方|建築家が解説

地窓(じまど)とは、床に近い低い位置に付ける、横長の小さな窓のことです。

目の高さに窓がないので、外からの視線を抑えながら、足元に光を入れられます。窓の外の地面や苔、低い植栽だけを切り取って見せることもできます。和室や玄関、廊下、階段などでよく使われます。

一方で、低い位置にあるぶん、外から足元が見える、防犯、掃除、家具の置き方で後悔することがあります。また、部屋を明るくするための窓(法令上の採光)としては不利になりやすいため、地窓だけで部屋の明るさをまかなうのは避けます。

床に近い地窓から、庭の地面と低い植栽が見える和室

地窓と高窓・天窓の違い

地窓高窓(ハイサイドライト)天窓
位置床に近い低い位置天井近くの高い位置屋根面
得意なこと足元を明るくする、地面や植栽を見せる、落ち着かせる部屋の奥まで光を届ける、視線を避けて空を見せる真上からの光を取り込む
気をつけること外から足元が見える、防犯、掃除暑さ、掃除、開け閉め暑さ、雨仕舞い、掃除

高い窓についてはハイサイドライトの記事で説明しています。地窓と高窓を組み合わせると、低い窓から入った空気が高い窓から抜ける、風の通り道をつくることもできます。

地窓が向いている場所

  • 和室:座ったときの目線に近く、庭の地面や苔を眺められる。障子と組み合わせると光がやわらかくなる
  • 玄関:外からの視線を気にせず、足元を明るくできる
  • 廊下・階段:足元の明るさを確保し、つまずきを防ぐ
  • リビングの一角:ソファや床座の目線の先に、庭の緑を切り取る

後悔しやすい点と対策

後悔対策
外から足元や室内が見える窓の外に植栽や低い塀を設ける。道路や隣家との位置関係を確かめる。型板ガラスや障子を使う
防犯が心配開けたときに人が通れない大きさにする、面格子を付ける、防犯性能の高い窓やガラスを選ぶ
掃除が大変窓の外に砂や泥がはねないよう、砂利や植栽で地面を整える。外から手入れできる位置にする
家具が置けない窓の前に家具を置かない前提で、壁の使い方を決めておく
冬に足元が寒い断熱性能の高いサッシとガラスを選ぶ。窓の大きさを必要な分にする

防犯については、警察庁などで構成される官民合同会議が、侵入に5分以上かかるなどの防犯性能を確かめた建物部品(CP部品)を目録として公表しています(警察白書、住まいる防犯110番)。地窓を開けられる窓にする場合は、こうした部品を選ぶことも検討します。

採光の計算では不利になりやすい

住宅の居室には、床面積に応じた「採光に有効な窓の面積」が必要です(建築基準法 第28条)。この有効な面積は、窓の面積に採光補正係数を掛けて求めます(建築基準法施行令 第20条)。

採光補正係数は、「窓の真上にある建物の部分(軒や上の階など)から隣地境界線までの水平距離」を、「その部分から窓の中心までの垂直距離」で割った値(採光関係比率)から計算します。窓の中心が低い地窓は、この垂直距離が大きくなるため、同じ大きさの窓でも係数が小さくなりやすいのです。

つまり地窓は、法令上の採光の面積をかせぐ窓としては効率がよくありません。部屋の採光は別の窓で確保し、地窓は足元の明るさや景色のための窓と考えるのがよいでしょう。

換気の窓として使う場合

居室には、床面積の1/20以上の「換気に有効な開口部」が必要です(換気設備で代える場合を除く。建築基準法 第28条第2項)。地窓を開けられる窓にすれば、換気の窓としても使えます。高い窓と組み合わせると、温度差で空気が動きやすくなります。

外構とセットで考える

地窓から見えるのは、窓のすぐ外の地面です。窓だけを計画して外が殺風景だと、地窓の良さが生きません。

  • 窓の外に何を見せるか(苔、砂利、低い植栽、石)を、窓と一緒に決める
  • 隣地や道路から窓の中が見えないか、塀や植栽で視線を切れるか
  • 雨水や泥のはね返りで窓が汚れないか

ご相談の前に

地窓は、外構や隣地との関係、ほかの窓とのバランスで効果が変わります。ご相談の際は、敷地の住所(周りの建物や道路の位置)、地窓を付けたい部屋、窓の外に何があるかを教えてください。

まとめ

地窓は、外からの視線を抑えながら足元に光を入れ、庭の地面や植栽を見せる窓です。防犯や目隠し、掃除は、窓の大きさと外構の計画で対策できます。法令上の採光では不利になりやすいため、部屋の明るさはほかの窓で確保し、地窓は足元と景色のための窓として計画しましょう。

この記事の監修

吉野優輔(一級建築士/株式会社YYA 代表取締役)
2007年近畿大学理工学部建築学科卒業。片岡重男建築研究所、株式会社日建設計を経て、2021年に独立(2022年に株式会社YYAに改組)。2024年から近畿大学建築学部の非常勤講師。詳しくは会社概要をご覧ください。

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