住宅、店舗、クリニック、商業施設などの建物を計画する中で、多くの施主は設計料について、初めてのことなので、わからないと思う方が多いと思います。建築家に依頼すると高くなると思われるケースもありますが、誤解です。
ここでは建築家に依頼する設計料や流れについて、ご依頼される前に理解しておくことが大切です。
設計料の相場はいくらなのか?
設計料はどのように決められているのでしょうか?
設計監理料の決め方は国土交通省で、告示98号に報酬基準のガイドラインが定められています。
しかし「人件費+経費+技術料」で算出するガイドライン通りの設計監理料では小規模な建物ほど高額になってしまいます。
そういう懐事情もあり、工事費に対する料率を採用する設計事務所が全国では7割あります。
大きな公共物件を扱う設計事務所の場合は告示98号で算出する場合がほとんどです。難易度が高い物件ほど、設計する時間も多くかかるので、告示を採用しています。
また料率を採用する設計事務所では最低設計監理料を決めている事例も多く、200万円程度を目安にしている方が多いようです。
また建築家に依頼したときの設計料の相場は工事費の10~15%が一つの目安になります。中には25%という設計事務所もあります。
大きな建物では工事費も多くなり、図面枚数も増えるので、工事費に応じて、料率を設定している建築家もあります。
例えば工事費が5000万円であれば、500万~750万が設計監理料となります。
建築家は設計監理だけをするので、わかりやすい「設計料」という形で請求します。一見、工事費と別に多くの費用が掛かり割高に思われています。
実際、設計施工業者では、施工も請け負うことから低い設計料が設定されいたり、設計料を頂かない業者もいるかと思います。
しかし、設計施工といっても、設計業務を担う方が必ずいます。設計する人がいる以上、設計料は必ず発生し、それは当然工事費に含まれています。
また建築家は設計費を上げるために、無駄に高い仕様にし、工事費を上げるのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、ご安心下さい。
建築家は無駄に工事費を上げることや、低予算だからと手を抜くことはしません。施主に満足して頂くことが次の仕事にも繋がりますので、むしろ予算に沿うように、要望を高いクオリティで実現してくれます。
今はロシア、ウクライナの戦争で、物価高が止まらない状況となっています。厳しい状況が続きますが、建築家はそれを実現してくれる頼もしい存在です。
設計監理料とは?
建築家に頼む場合の設計料には監理料が含められた設計監理料となります。ここでの「監理」とは何か?施工会社が行う「工事管理」との違いは何か疑問に思う方も多いと思います。
施工会社が行う工事管理は工事現場を動かす役割を果たします。
工事の工程管理や材料の調達、安全管理、業者の管理などを行います。
建築家が行う工事監理は設計図書通りに工事が出来上がっているかチェックすることや、図面だけでは伝わらない内容を現場の人に伝える役割を果たします。施工会社と施主との間に入る「建築主の代理人」というべき存在です。
費用を抑えるため、建築家には監理を除き、設計のみの依頼を考える方もいるかと思いますが、お勧めはしません。
設計した建築家は自分が設計したものを実現することまでが仕事であると思っているので、空間のクオリティーや現場での素材の選定など、第三者監理には到底出来ない拘りをもって、空間を実現できる存在です。
工事費の妥当性は?
工事費は地域により異なりますが、現在物価上昇の中で、より工事費の妥当性について不安になる方も多くいるのではないでしょうか?
工務店を一社のみの場合、競争が働かない為、高くなるケースが多いです。
また設計施工業者の場合、他社との正確な比較ができないことや、上記のように設計料の上乗せなど、妥当性に欠けるといえます。
建築家の場合、複数の施工会社に見積りを取り、競合させ比較することで、妥当性を見極めるとともに、安い工事費に抑えることができます。場合によっては数千万円違うケースもあります。いかに品質の高い仕事ができ、価格の妥当性のある工務店を連れてこれるかも建築家の手腕の見せ所です。設計料が高いと思っても、ここで、その分を賄えるぐらいの費用にはなるでしょう。そのような提案力のある建築家がいいでしょう。
また費用が予算をオーバーしている場合、建築家が減額提案をすることは通常行います。仕様を落とすことや、場合によっては面積を減らす大英断を決断する瞬間もあるかもしれません。本当に実現したいことは何かを決めるのは施主なので、そこはご自身の判断が必要になってきます。
建築家に頼むと工事費が抑えられる?
建築家が施工者を選定した場合、工事費を抑えることができます。それはどういうロジックでしょうか?解説していきます。
一般的に施工会社の利益率は20~30%になっているとされています。
しかしこの中には人件費などの経費や、広告、営業費、技術開発費などが含まれています。
建築家が施工者を選定した場合、広告、営業費がかかっていないことなど、経費を削減できることから利益率を下げてでも、契約したいと考える施工会社が多いです。
また建築家の優れたデザインを施工できる、自社のアピールになるため利益率を下げてでも契約したい施工会社も多いはずです。
そのため、建築家に依頼した場合、工事費が抑えられることが多いです。
例えば、工事費の原価が3000万円の建築だったとします。
- 設計施工会社に直接依頼した場合
原価3000万+150万(設計料5%)+900万(施工会社の利益率30%)
総工費4050万円となります。
- 建築家に依頼した場合
建築家の設計監理料300~450万(設計料10~15%)
原価3000万+300~450万(設計料)+600万(施工会社の利益率20%
)
総工費3900~4050万
上記の例から建築家の設計料が高く、その分費用がかさむということではないことが分かっていただけると思います。
また設計施工の場合、低く設定した残りの設計料を工事費に上乗せするので、注意が必要です。
理想に近づけるには建築家に依頼する方がいい?
建築は一生に一度の大きな決断となるため、最大限ご自分の理想の建物に近づけたいと思われるでしょう。
設計施工業者では決まったプランや仕様があり、それに沿ったプランニングや仕様となるため理想の建物に近づけにくいことがあります。また建築家と違い、施工がしやすいよう詳細部分のデザインに凝らないことも多いです。
建築家の場合、土地選びから相談に乗るケースもあります。
施主の理想をその土地で本当に実現できるか適切にアドバイスしてくれます。
建築家は新しく物事を考えるのが得意なので、施主の要望を満たすため、工夫して設計していきます。建築家だからこそ理想に近い自由な設計ができると言えます。
また敷地条件や周辺環境などを読み解き、今までにない新しい提案をしてくれます。
建築家だからこそ豊富な知識により細部に至るまでデザインしてくれます。
理想と費用のバランス
ほとんどの方が理想、要望はあってもどれぐらいかかるのか費用感が分からないと思います。
そうした中で、すべてを伝えてしまってもいいのか不安になると思います。
しかし、まずは建築家に理想をすべて伝えてみて下さい。
予算内で、すべての理想、要望が実現できる場合もあります。できない場合でも建築家との対話の中で、今回の計画で本当に実現したいことが何かが見えてきます。
何をあきらめて、何を優先するか、知恵を絞り、実現した建築は必ずいい建築となります。
建築家に依頼した流れとは?
まとめ
いかがでしたでしょうか?一見高く見える設計料ですが、一概にそうとは言えないことを分かって頂けたでしょうか?
建築は一生に一度の決断になるので、理想に近いものをしっかり実現してくれる建築家に依頼することが大切です。
弊社では長年建築家として活動してきた経験から今までにない新しい建築をご提案致します。大阪、和歌山、神戸、京都、奈良、滋賀の近畿圏をはじめ、遠方の方でも交通費を頂ける場合は対応可能です。オンライン相談も無料で行っています。