企業にとって、自社ビルを建設することは資産となり、ブランディング上、企業価値を高めます。
お客様からの信頼性を高めるなど、大きな魅力があります。今後のビジネスの拡大と共に、自社ビルを建築したいとお考えの企業の方に向けて、建築家が自社ビルを設計する上で、重要なポイントを順に解説します。
今後のご参考にして頂ければと思います。
建物の建設に際して、まずすべきことはエリア調査です。
どこにオフィスを構えるかが企業ブランディングにも影響しますので、業績が上がるようなエリア選択が必要不可欠です。
調査する際、検討エリアのアクセスはもちろん周囲の環境の確認も重要になります。
主要な取引先へのアクセスは良好であるか?頻繁に行き来する役所や銀行などが近くにあるか?商業地域か住宅地域か?
移動時間の増加は業務効率の低下だけでなく、健康被害を引き起こす可能性があるので、避けましょう。
エリアが決まると次にエリア内での土地検討です。
該当する土地に傾斜地のような高低差はあるのか?土地形状が複雑でないか?
近隣の街並みは高層であるか中高層であるか?
面積はどれぐらいの広さなのか?アクセスが自動車メインとなる場合は駐車スペースを含めて検討する必要があります。
土地が決まると通常であれば土地契約に進まれると思います。
しかし弊社ではエリア調査、土地検討からご一緒できればと考えています。建築基準法での制限などもありますので、建築家の視点から分析し、ご助言させて頂きます。土地検討の失敗を未然に防ぎ、より理想に近い自社ビルを建てることが可能になります。
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設計に入る前に、自社ビルを建築する上で、一番重要なポイントがあります。
それはコンセプトを明確にすることです。
明確にすることで、自社ビルが会社のVISON、魅力、企業ブランディング等を建物で表現することができ、ビルが魅力的なものになります。
そうなることで、社員や来客者にとって、企業風土や、価値を理解することに繋がります。
企業理念、ブランドイメージなどを社内のチームで明確にすることも大切ですが、計画の初期段階から建築家と協議することをお勧めします。そうすることで、社内では気がつかない大事なポイントやクリエイティブな発想をもたらすことが可能です。
ワークショップをするなど、社員の意見を取り込むことで、全員が一つの目標に向けて、一致団結するとともに、自分事として、会社の事を考えるきっかけになり、それが建物として表現されるので、働く人にとっても満足度の高いものとすることができます。
まず建物の設計で取り組むのがゾーニング計画です。
必要なスペースを平面上で大まかに位置を決め、建物のボリューム検討をします。
自社ビルの場合、斜線制限や天空率や日影規制などの建築基準法に照らし合わせながら、建物ボリュームを初期段階に決めていきます。
つまり何階建てになるかや、外観の形状の制限など、ボリュームで検討していきます。
またエントランススペース、ワークスペース、来客スペースといった必要スペースは何が必要か、設計条件を決めることも大事です。企業によって、商品やサービスを紹介するショールームが必要になるかもしれません。ブランディング上、どうするかにも関わるので、建築家と議論を重ねる方がいいです。
次にゾーニングでもポイントがあります。
それは建築家と密な会話をすることです。我々は各スペースの使用目的や頻度、利用者をイメージしつつ、ゾーニングしていきますが、認識の相違があるとうまく進みません。
密にコミュニケーションをとることで、イメージをすり合わせながら、お互いのイメージを共有しながら進めることで、よりよいものになるでしょう。
ここからは建築家の提案をもとにブラッシュアップしてきましょう。
動線計画のポイントは働きやすい動線です。
動線を複雑化すると、作業効率の低下や人とのコミュニケーションの低下などに繋がります。
また来客者にとっても、動線が分かりにくいと、施設利用する上で、ストレスに繋がります。
また来客動線と従業員動線がクロスすると、混乱を招く可能性があるので、避けるべきです。
上下階で部署が別れる場合、階段や行き来する動線の近くにコミュニケーションスペースを設けることで、部署間を移動する間にコミュニケーションが取れ、より仕事しやすい環境を作ることができます。
初めに明確化したコンセプトをもとに各スペースの具体的なレイアウトを決めていきます。
レイアウトを決めるために、まずプリンターなど設置機器の寸法を把握しましょう。
把握することで動線を邪魔しないレイアウトを決めることができます。
ワークスペースでは社員が快適に業務ができ、コミュニケーションが取りやすいレイアウト、空間がポイントです。
ミーティングスペースでは全員が着席でき、意見交換がしやすいレイアウトがポイントです。このように各スペースにあったレイアウト作りが必要です。
今、SDGsを意識される企業も多いのではないでしょうか?
環境配慮、社会貢献が重視される今、SDGsの取り組みを積極的に行うことで、多くの企業が企業ブランディングの一要素として取り組んで対外的にアピールしています。
SDGsの行動目標の中に、「8.働きがいも、経済活動も」があります。
これは社員が働きやすいオフィス環境を整えることに関連しています。
働きやすいオフィス環境はブランディングだけでなく、採用活動においても、アピールできるポイントになるのではないでしょうか。
自社ビル建築では従業員の意見を取り入れ、各人が満足するような労務環境を作ることができます。
ロンドンの建築技術コンサル会社のアラップでは自由に働く場所、時間を選択することができる働き方(ABW…Activity Based Working)を取り入れています。
アラップが自社ビルを設計した際、多くのリフレッシュスペースや、自転車通勤者が多いことから、更衣室、シャワーを設けるなど、従業員の意見、働き方を取り入れた設計をしています。
従業員の98%が満足しており、事業も業績も伸ばせた新しい自社ビルの例といえます。
弊社では、ワークショップを実施することもでき、従業員を巻き込んで、設計を進めることができます。
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生産性を高めるうえで、リフレッシュスペースを広く作りたいと考える企業が増えてきています。
社員がただ昼食を取り、休憩できるだけでなく、多目的な利用を想定した空間作りがポイントです。
一人でゆっくり休憩を取りたい方や、二、三人で軽いミーティング、談笑をする方、社内講演会など多目的での使用が考えられます。
それぞれに対応した席をランダムに配置することや、使用に合わせ変化できる空間づくりが考えられます。
またゆっくりくつろぎやすいように温かみのある家具選定、観葉植物の設置などがポイントになります。
自社ビルの一部をコワーキングスペースとしてオープンにすることで、他業種との交流を積極的に行えます。多くの業種と関わることで、新たな発想のきっかけやコラボレーションに繋がります。
中国の企業コンサルティングファームであるPlan bは自社オフィス、コワーキングスペース、イベントスペースなどを混在させることで、業界の垣根を超えたコラボレーションを実現しています。
リフレッシュスペースと一緒に考えたいのは社員食堂やカフェです。
栄養バランスの取れた食事の提供で社員の健康増進に繋がり、業務の活性化にもつながります。
また食事をともにすることで、社員同士のコミュニケーションの活性化が期待できます。
リフレッシュスペースとともに考えられた社員食堂、カフェは社員満足度の向上だけでなく、企業のイメージアップにもつながります。福利厚生を充実させることで、求人に対する効果も期待できます。
そういう意味で、積極的な採用が望まれます。
コロナウイルス感染症拡大により大きく変化する社会の中で、働き方も変わってきています。
今後自社ビルを建設する際に、どのように変化していくでしょうか?
テレワークの導入やリモート会議によって効率化された一方で、自宅での働きにくさ、コミュニケーションの減少といった課題が浮き彫りになってきました。
改めてオフィスの重要性を認識されるととも、これからの時代に対応する新しいオフィス像が求められています。
海外では多くの企業がハイブリッドワークへ移行してきており、リモートワークとオフィスワークの組み合わせが新しい働き方の一つになるでしょう。
こうした中、自社ビルではワークスペースについて考える必要があります。
従来では社員全員に対して、必要であったワークスペースが、リモートワークにより、減少します。
また固定席を設けないフリーアドレスを採用することで、決まったワークスペースは不要になり、共用スペースが多くを占めることになります。
そうしたスペースを活用し、従来と建物規模は変わらず、リフレッシュスペースやコワーキングスペースの充実が可能となります。
Appleやgoogleでは段階的にハイブリッドワークへ移行しています。
日本の企業もそうした流れに沿った働き方に今後なることが濃厚でしょう。
フレキシブルワークとは、ワークライフバランスに応じて柔軟に、変更する働き方です。
各々を尊重した柔軟性を重視した働き方で効率化の向上を目指せます。
自社ビルでは柔軟に対応できるようコワーキングスペースの充実がポイントになってきます。
Amazon,Microsoftではフレキシブルワークを取り入れ、完全リモートワークから完全なオフィスワークまで柔軟に対応しています。
人は先天的に自然とのふれあいを求めることから、植物や自然素材、音、香りまで取り入れるバイオフィリックデザインが注目されています。
ストレスの軽減だけでなく、植物による空気の浄化も期待できます。
アメリカハンドメイドプラットホームのEstyは自然の光が感じられるようデスクを自然光の届く範囲に配置し、屋上テラスに60種ほどの植物に囲まれています。
ポーランドのEC大手Allegroでは公園のようなオフィス空間を目指し温かみを感じられる空間としています。
自社ビルは一般的に街に対して閉ざされていますが、街に開くことで、社内外のコラボレーションやオープンイノベーションの場となります。
外部空間に一般の人が利用できるオープンエアーな公共スペースとして、カフェの空間を設ける事例もあります。
オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学は一般の人が利用可能な公共スペースを設けることで、街の活気が流れ込み、学生の活性化に繋がっています。
自社ビルにも同じような手法を取り入れることは可能です。新しいオフィスビルになる例かもしれません。
自社ビルを設計するポイントとして、街にどう開くかも重要です。
設計施工会社、設計事務所、建築家などが考えられます。
多くの企業は実績で選びがちですが、あまり関係ありません。実績が多いとスムーズに進むかもしれませんが、慣れているからこそ流れ作業のようになり、企業が満足するような設計にならないかもしれません。逆に実績が少なくても、様々な設計経験がある事務所では、新しい発想で、柔軟な提案をしてくれるでしょう。
また設計施工会社では設計料が施工費用に含まれており、安いように見えて、そうではありません。注意が必要です。
会社は様々あり、メリット、デメリットはそれぞれありますが、第一に理想の自社ビルを一緒に考えてくれる設計事務所を選ぶことをおすすめします。
企業にとって自社ビルの建築は新しい一歩であり、今後企業が成長する起爆剤になるでしょう。
弊社では長年建築家として活動してきた経験から、企業にとって付加価値の高い自社ビルとなるように、ご提案致します。
お気軽にお問合せ下さい。遠方でもオンラインミーティングでご相談受付しております。相談は無料なので、お気軽に。